artscapeレビュー

DOMANI・明日展

2012年02月15日号

会期:2012/01/14~2012/02/12

国立新美術館[東京都]

今日は開館5周年記念日ということでタダ。「DOMANI」は文化庁の在外研修制度で海外に行った作家たちの成果を発表する展覧会なので、出品作家相互のつながりが希薄なため各作家の個展として見るしかない。塩谷亮のリアリズム絵画や阿部守の鉄の彫刻などを無事通過して、ようやく足が止まったのは最後から2番目の児嶋サコの作品。彼女はウサギだかネズミだか小動物の着ぐるみをつけてパフォーマンスするチャラいアーティスト、と思っていたが、ここではモチーフこそネズミではあるけれど、表現主義的なタッチのしっかりしたペインティングを出しているので驚いた。80年代の新表現主義絵画を思い出すなあ。そして最後が元田久治の廃墟画。既存の建築が廃墟になった想像図ばかりを描いてる画家で、派遣されたメルボルンやサンフランシスコでも鉄道駅やスタジアムを廃墟にしてしまうのが痛快だ、みたいなことを以前にも書いたことがあるなあ。3月から廃墟画の大先輩ユベール・ロベール展(2012年3月6日~5月20日、国立西洋美術館)が開かれるので、比べてみるのも一興かも。

2012/01/21(土)(村田真)

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