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artscapeレビュー

MP1 Expanded Retina|拡張される網膜

2012年02月15日号

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会期:2012/01/21~2012/02/05

G/P GALLERY[東京都]

MP1は、エグチマサル、藤本涼、横田大輔、吉田和生という1982~84年生まれの4人の写真家たちと、批評家の星野太によるグループ。2011年秋に横浜トリエンナーレの関連企画として、横浜・新港ピアで開催された「新・港村」で「拡張される網膜」展を開催して本格的に始動した。2012年は本展をはじめとして、都内のいくつかのギャラリーやウェブ上で複数のプロジェクトを進行する予定だという。
正直言って、作風、経歴にそれほど重なり合うところのない彼らが、グループとして活動していく強い理由を見出すのは難かしい。ただ、写真家たちによる自主運営ギャラリーの活動もそうなのだが、異質な要素が触媒的に働くことで、メンバーの作品が思わぬ方向に伸び広がっていくということは大いに期待できる。例えば今回の展示では、かなり過剰に「表現主義」的な傾きが強かったエグチマサルの写真+ドローイング作品が、すっきりとしたミニマルな雰囲気の画面に変質していた。反対に吉田和生は、被写体のエレメンツをしつこく反覆・増殖していく傾向を強めている。このような化学反応を、むしろ積極的に触発していってほしいものだ。そこから星野の言う「写実的な外界の痕跡でもなければ、表現主義的な内面の吐露でもない」、ちょうどその中間領域とでも言うべき「網膜」の表層性に徹底してこだわる、彼らのスタイルが模索されていくのではないだろうか。
なお、展示にあわせて500部限定のコンセプト・ブック『Expanded Retina|拡張される網膜』(BAMBA BOOKS)が刊行されている。きっちりと編集されたクオリティの高い作品集だ。

2012/01/25(水)(飯沢耕太郎)

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