artscapeレビュー

Art Court Frontier 2013 #11

2013年09月15日号

会期:2013/07/05~2013/08/03

ART COURT Gallery[大阪府]

美術界の第一線で活躍中のアーティスト、キュレーター、コレクター、ジャーナリストらが推薦者となって出展作家を1名ずつ推挙する毎年恒例の企画グループ展「Art Court Frontier」。11回目となる今回は、10名の推薦者により、内田洋平、榎真弓、笠間弥路、コタケマン、澤崎賢一、下道基行、杉山卓朗、前谷康太郎、山下雅己、芳木麻里絵の10作家が出展した。映像、絵画、インスタレーションなどさまざまな表現が並ぶ会場で、今年、もっとも印象に残ったのは澤崎賢一の映像インスタレーション。それは戦時中、「人間魚雷」の開発者であったという祖父の逸話と、幼いころ、海に得体の知れない恐怖心を抱いていたという澤崎自身の感情体験を題材にした作品で、所々で軍服を着た男(澤崎本人)が“海の怪物”の絵を描きだしている姿も映し出される。この“海の怪物”の絵の登場が、いまとなっては知り得ない戦時中の祖父の体験、澤崎の体験、それぞれの価値観や時間をひとつの物語として結びつける鍵になっていて、こちらの連想を掻き立てるのだった。人間魚雷を開発した祖父と“海の怪物”との関係にまで私の想像が至らず消化不良の感も残るのだが、戦争という重いテーマ、その意味でもさまざまな解釈ができる。もう一度じっくり見ればよかった。

2013/08/03(土)(酒井千穂)

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