2018年12月01日号
次回12月17日更新予定

artscapeレビュー

good design company 1998-2018

2018年10月01日号

会期:2018/09/12~2018/10/18

クリエイションギャラリーG8[東京都]

good design company(gdc)は、クリエイティブディレクターの水野学が代表を務めるデザイン会社である。彼の名を知らなくとも、熊本県公式キャラクター「くまモン」をデザインした人と言えば、誰もがあぁと思うだろう。くまモンは熊本県出身の放送作家、小山薫堂がプロデュースしたキャラクターとして知られるが、デザインを手がけたのは水野である。本展は設立20周年を迎えるgdcの仕事を紹介する展覧会だった。会場の中でくまモンは意外と小さな扱いにとどまっていたが、ほかに中川政七商店、相鉄グループなど、gdcのデザインであることを知っている事例もあれば、あれも? これも? と、その商品パッケージや広告は知っているのに、gdcのデザインであることを知らなかった事例がいくつもあった。いかにgdcのデザインが世の中にたくさん浸透していたのかを思い知る瞬間だった。

「くまモンをデザインした人」と称されるのは、水野本人はもう辟易していることだろうが、それでもやっぱり語ってしまう。なぜならくまモンが登場してすでに8年近く経つにもかかわらず、その人気はいまだ衰えることがないからだ。その売れっ子ぶりは、キャラクターを活用した街おこしの大成功例と言っていいだろう。くまモンがこれほど売れた理由は、いろいろと指摘されている。まず無料で商用利用を許諾しつつ、利用の際のルールを徹底したという画期的な著作権ビジネスモデルが挙げられる。それだけでなく、デザインにおいても利用しやすさの秘密がたくさんあった。それはくまモンには輪郭がないため、大きく使っても小さく使ってもデザインに統一感を持たせられること。黒と赤の2色だけで構成されたシンプルさのおかげで、幅広いデザインに対応できることなどがある。また、水野はくまモンのデザインを決める際に、0.1mm単位で顔のパーツを動かした候補案を数百枚も用意し、スタッフ全員で「良い」と思った顔に投票する方法で絞り込んでいったという。つまり最終的には、人間が心理的に好むか否かの直感に頼って決めたというわけだ。多くの人々に愛される裏づけがそこにはきちんとあった。余談だが、初日のオープニングパーティーにはくまモンもお祝いに駆けつけたという。わが子(作品)にも愛されるクリエイティブディレクターなのだ。

展示風景 クリエイションギャラリーG8

公式ページ:http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201809/201809.html

2018/09/26(杉江あこ)

artscapeレビュー /relation/e_00045851.json l 10149715

2018年10月01日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ