artscapeレビュー

収蔵庫開帳! 広島ゆかりの作家たち 選・都築響一

2010年08月01日号

会期:2010/04/24~2010/07/11

広島市現代美術館[広島県]

同館が所蔵するコレクションを都築響一が選び出した展覧会。鑑賞者がみずからの眼で作品の良し悪しを判断する機会は、すべての作品に平等に与えられなければならないという考えのもと、収蔵庫に長く眠っていた日陰のコレクションを「御開帳」した。25名ほどの出品作家は、なるほど、ほとんど知られていない「ローカル・ヒーロー」ばかりである。たしかに美術館の知られざるコレクションを公開したことは画期的だし、美術館の英断も評価できる。ただ、それらを従来の展覧会と同じように展示するだけでは、「鑑賞者がみずからの目で作品の良し悪しを判断する」ことは難しいようにも思う。ありていにいえば、それらの作品はどれもおしなべて凡庸に見えてしまうからだ。むしろ、それぞれの作家の経歴を今以上に深く調べ上げ、その物語とともに作品を見せるような仕組みを用意すれば、作品を見る取っ掛かりが増えるのではないだろうか。客観的で中立的な展示の態度が、鑑賞者の自由な判断をもたらすとはかぎらない。逆に、選者の明確な意図を込めた斬新な展示手法のほうが、鑑賞者の眼や思考を刺激することもなくはないだろう。たとえば同館でかつて催された市民キュレイターによるコレクション展は、支離滅裂で破天荒な展示手法がかえって新鮮だった。コンセプトが野心的で魅力的だっただけに、非常に残念である。

2010/07/09(金)(福住廉)

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