2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

パフォーマンスに関するレビュー/プレビュー

チェルフィッチュ「部屋に流れる時間の旅」仙台公演

会期:2017/07/07~2017/07/08

仙台市宮城野区文化センターパトナシアター[宮城県]

京都や東京の公演では全然チケットをとれなかったのに、仙台は楽勝で、しかも空席が残っていたのが気になった。物語の形式において部屋で女性の死者が一方的に男性に語るサミュエル・ベケットの『ねえジョウ』を思いだ出したが、大きく異なるのは、青柳いづみの生々しい身体が現前すること。そして希望だったはずの震災後の現在を問う。さらに、そこに未来の女による語りも重なる。

2017/07/08(土)(五十嵐太郎)

マームとジプシー10th Anniversary Tour クラゲノココロ モモノパノラマ ヒダリメノヒダ

会期:2017/07/07~2017/07/30

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール[埼玉県]

藤田貴大の高校時代を描いた過去の3作品をリミックスした構成であり、舞台空間も奥行き方向に三分割されている。したがって、物語としての一貫性よりも、めくるめく舞台転換と散りばめられた多様な要素が複雑に重合する演劇だった。それは視覚と記憶をめぐる断片が反響し合う時空の体験に身を委ねるものでもあった。

2017/07/08(土)(五十嵐太郎)

千光士誠 母展

会期:2017/07/04~2017/07/09

ワイアートギャラリー[大阪府]

老齢の着物姿の母を、ハイライトを強調して描いた具象の肖像画。そのストレートさ、光と闇が交錯する劇的な構成が印象的だった。千光士の作品は2006年から2012年頃にかけて個展やグループ展で見ていたが、当時は墨を用いたダイナミックなドローイングで、本展の作品とは全然違っていた。また近年の彼は、一対一で対象と向き合う肖像画のプロジェクトを行なっており、ギャラリーで見る機会がなかったため、動向を掴めていなかった。久しぶりに再会した千光士は相変わらず精力的で、確信をもって自分が成すべきことに邁進していた。画風が変化したと言っても、彼のテーマは最初から「人間」であり、その意味では一貫した活動を続けているのだ。今後の活動予定については聞かなかったが、一対一のプロジェクトをまとめて発表する機会があれば面白いのではないか。もちろんほかの作品でも良いので、今後も展覧会活動を続けてほしい。

2017/07/06(木)(小吹隆文)

ロジェ×束芋

会期:2017/07/05~2017/07/06

浜離宮朝日ホール[東京都]

フランスの印象主義音楽+吉松隆を弾く背景で、束芋らしいアニメーションが投影される。手描きをベースにしたややおどろおどろしい映像ゆえに、2人の世界の相性がよいというよりも、むしろ不思議な東西の組み合わせと言うべきか。またプロジェクションされた大きな映像の効果を際立たせるために、クラシックの演奏会ではありえない暗闇に近い状態で音楽を体験したのが印象的だった。

2017/07/06(木)(五十嵐太郎)

プレビュー:地点『汝、気にすることなかれ』

会期:2017/08/05~2017/08/20

アンダースロー[京都府]

地点×エルフリーデ・イェリネクのテクスト×三輪眞弘(音楽監督)による第3弾。『光のない。』『スポーツ劇』に続く注目の新作が、地点の稽古場兼劇場である京都のアンダースローにて、8月に上演される。地点は自分たちで改装したアンダースローを拠点として、チェーホフの四大戯曲やブレヒト、『地点の近現代語』などのプログラムをレパートリーとして継続的に上演しているが、そこにイェリネクの『汝、気にすることなかれ』が新たに加わるという。「シューベルトの歌曲にちなむ死の小三部作」と副題のつく本作は、第三部に作者の父が登場するなど『スポーツ劇』の続編としての性格もありつつ、オーストリアのブルク劇場の大女優をモチーフにした第一部、白雪姫の物語を題材にした第二部と、それぞれ全く異なる設定で書かれている。神奈川のKAATや京都のロームシアターといった大劇場ではなく、俳優との距離が極めて近い空間で観劇できることも、レパートリー上演の大きな魅力である。前2作の延長上にどのような世界が立ち上がるのか、非常に楽しみだ。

2017/06/30(金)(高嶋慈)

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