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福住廉のレビュー/プレビュー

李演 LI YAN “Snippet”

会期:2009/02/21~2009/03/21

山本現代[東京都]

常日頃、マスメディアの報道写真で見かけているような戦争のイメージを粗いタッチで描いた油彩画。一点一点のサイズが小さいため、まるでスナップ写真を眺めているかのようだが、精緻な写真とは対照的に、細部をはっきり認識できないからこそ、逆説的に想像力が大いに刺激される。とくに、顔がただれたように見える戦傷者のイメージは、油彩のタッチが効果的だったように思う。

2009/03/17(火)(福住廉)

平泉 みちのくの浄土

会期:2009/03/14~2009/04/19

世田谷美術館[東京都]

11~12世紀にかけて浄土思想にもとづいた仏教文化が栄華を極めた平泉。本展は、中尊寺や毛越寺に残された仏像や名宝、およそ200点あまりを寺外ではじめて公開するもの。見所は、《国宝 中尊寺金色堂西北壇壇上諸仏》と《国宝 金光明最勝王経字宝塔曼荼羅図》を至近距離で鑑賞できること。とりわけ、経文を宝塔のかたちに書写した後者は圧巻。新国誠一の系譜の起源がここにある。

2009/03/13(金)(福住廉)

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多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻情報デザイン領域有志学外展

会期:2009/03/13~2009/03/15

BankART Studio NYK[神奈川県]

「さよなら工芸」展とほぼ同時期に同会場で行なわれていた展覧会。いわゆるメディアアート系の作品が大半を占めていたが、工芸展に比べると作品の仕上がりが全体的に荒いように見受けられた。道路交通法の条文の上をミニカーで縦横無尽に走らせ、その条文をプロジェクターで投影するとともに、音声ソフトによってランダムに音読させる多田ひとみの作品は、コンセプトが面白いものの、ミニカーを自動的に動かす仕組みにやや難点が残り、残念。改良して発表してほしい。

2009/03/13(金)(福住廉)

多摩美術大学工芸学科第八期生卒業制作展 さよなら工芸

会期:2009/03/11~2009/03/15

BankART Studio NYK[神奈川県]

多摩美の工芸学科による卒業制作展。展覧会のタイトルが「母校への別れ」と「ジャンルとしての工芸への決別」を含意していることは明らかだが、勇ましい言葉に負けず劣らず、それぞれの作品も全体的にレベルが高く、見応えがあった。工芸的な完成度を踏まえつつも、その規範には決して満足しない志の高さが伺えた。

2009/03/13(金)(福住廉)

第12回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展

会期:2009/02/07~2009/04/05

川崎市岡本太郎美術館[神奈川県]

毎年恒例のTARO賞。611点の応募の中から21組の入選作品が展示された。岡本太郎賞の若木くるみは、一万円札を模した巨大な紙幣の中で、そりあげた後頭部を観客にさらし、そこに似顔絵を描かせるように促す観客参加型の作品。会期中もほぼ常駐して、来場者に背を向けたまま声を掛けていたが、その異様な雰囲気が来場者はもちろん周囲の作品をも圧倒していた。唯一、若木のパフォーマンス作品に拮抗していたと思うのは、花岡伸宏による《ずれ落ちた背中は飯に突き刺さる》という彫像。背中に赤子を背負った母子像を斜めにすっぱりと切断し、タイトルどおり切り落とされた背中が巨大などんぶりの白米の中に突き刺さるという、土着的なシュルレアリスムの光景がたまらない。

2009/03/11(水)(福住廉)

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