artscapeレビュー

福住廉のレビュー/プレビュー

万華鏡の視覚 ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより

会期:2009/04/04~2009/07/05

森美術館[東京都]

近年にわかに関心が高まりつつある「視覚」をテーマにした企画展。文字どおり万華鏡のようにピカピカ光ってまぶしい作品や、ガヤガヤとけたたましく音を発する作品が多く、視覚を根源的に再考させる作品はほとんど見受けられなかった。ジム・ランビーの縞々模様の上で無目的にゴロゴロと転がり続けるイェッペ・ハインの球体作品は、丸い表面にその縞模様を歪めて映し出すことで、ジム・ランビーの作品の力を本来以上に引き出す視覚的な効果を発揮していた。

2009/04/03(金)(福住廉)

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日野田崇 展─アレゴリーの暴発─

会期:2009/04/01~2009/04/25

INAXギャラリー2[東京都]

セラミック彫像の展覧会。マンガ的なモチーフが表面に描かれた彫像は、一見すると村上隆の亜流のように見えなくもないが、それ以上に曲線が歪み、彫像のフォルムも大胆にデフォルメされているので、キャラクターの立体化という浅薄なレベルを鮮やかに突き抜けている。

2009/04/02(木)(福住廉)

ウラサキミキオ展

会期:2009/03/30~2009/04/04

ギャラリイK[東京都]

平面作家ウラサキミキオの新作展。作家が暮らす住宅の居間から見た光景を描いている。室内に置かれたピアノやベランダの植木、その向こうに見えるマンションの裏側など、その日常性がこの上なく中庸だが、その一方で画面には切り貼りされた紙が無作為に貼られているため、視覚的なノイズが発生するように仕掛けられている。ある種のレイヤーを重ねることによって日常という凡庸な空間を見つめようとする作家の視線が表わされているようだった。

2009/03/31(火)(福住廉)

木立真佐美 個展 アニミティック・センス─球体関節のかたち─

会期:2009/03/30~2009/04/04

ギャラリー山口[東京都]

球体関節人形の展覧会。通常はかわいらしい衣装を着せて持ち主の愛玩具として用いられることが多いが、木立のつくりだす人形は表面が焼け焦げ、あるいはただれているように見えるので、むしろ端的に、おぞましい。だからこそ持ち主の深い愛情が注がれるのかもしれないが、球体関節人形の新たな一面を見たような気がした。

2009/03/31(火)(福住廉)

安齋重男 作品展「Unforgettable Moments」

会期:2009/03/24~2009/04/25

ZEIT-FOTO SALON[東京都]

写真家・安齋重男の写真展。ボイスやローリー・アンダーソン、パイクなど有名アーティストらの写真を、手書きのメッセージを書きつけて発表した。

2009/03/31(火)(福住廉)