artscapeレビュー

福井利佐「LIFE-SIZED」

2013年09月01日号

会期:2013/08/09~2013/09/08

ポーラ ミュージアム アネックス[東京都]

確かにその手法は切り絵なのだが、見知った切り絵のどれとも違う独自の世界を創り出してきた福井利佐。ポーラミュージアム・アネックスでの展覧会では、また新たな世界を見せている。二次元の切り絵でありながらも三次元的に造作を表現する福井の切り絵が、濃色ではなく白い紙を素材として、そして壁面ではなく透明なアクリル板を支持体として天井からワイヤーで吊され、暗い展示室に浮かび上がっている。人物や犬の顔といったモチーフは、技法的にはこれまでにも見た福井の切り絵であるが、白い紙を用いるとこうも印象が異なったものになるものなのか。作品の間を抜けて奥へと進み、振り返るとさらに驚かされる。白い紙の裏側はやや鈍い赤や青、緑や黄色で着彩されており、入ってきたときに見たものとはまったく異なる作品を見ているかのような印象を与えるのである。これらの作品のスケール感と空間構成は、印刷された作品集ではけっして体感できない。作品も演出もすばらしい展覧会である。[新川徳彦]


展示風景

2013/08/17(土)(SYNK)

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