2018年09月15日号
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artscapeレビュー

猿楽と面 大和・近江および白山の周辺から

2018年07月01日号

会期:2018/03/19~2018/06/03

MIHO MUSEUM[滋賀県]

BankARTスクールの美術館講座を一緒に担当した和田菜穂子センセーと、生徒たちを連れて滋賀県の旅。ほんとはお膳立てをしてくれた生徒たちに連れられての旅なのだが。まずは石山駅前のバス停で待ち合わせ、人里離れた山奥にあるMIHO MUSEUMへ。今日は天気もよく、渓流をながめながら遠足気分。バスの到着したレセプション棟から徒歩でトンネルと橋を通り、臨死体験または出生を再体験しながら美術館に向かう。トンネルを抜けると正面にイオ・ミン・ペイ設計の神社みたいなガラスの屋根のエントランスが見えてくる。ここは熱海のMOA美術館を運営する世界救世教から派生した神慈秀明会が建てた美術館で、「MIHO」は創立者の小山美秀子(みほこ)の名に由来する。どちらも自然農法を提唱しているせいか、自然環境の豊かな場所を選んでおり、ロケーションは抜群だ。

さて、今回の目的は「美術鑑賞」ではなく「美術館鑑賞」なので、展覧会の「猿楽と面」には期待してなかったけど、各地から集められた350点もの「面」をぼんやり見ていくうちに、だんだん薄気味悪くなってきた。面というのは顔、しかもおそらく生身の人間が被っていたものだから、ただ見るだけの絵画や彫刻とも陶磁器などの工芸品とも違う「妖しさ」が染み込んでいるのかもしれない。そんな「妖気」にあてられたのだろうか。しかも素材は木という生きものなので、石や金属に比べて人肌に近い。石や金属の面が骸骨だとすれば、木彫は「肉面」か。なかには彩色された表面の顔料がはがれて、まるで焼死体のようにボロボロになった面もある。あー見ていて怖くなってきた。

2018/05/26(村田真)

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