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鉄を叩く──多和圭三展

2011年02月15日号

会期:2010/11/13~2011/01/09

目黒区美術館[東京都]

もうかれこれ30年、鉄の塊を叩いてる。鉄の塊はときに1トンを超えるというから、素人が叩いたところでビクともしないが、彫刻家が大きな玄能で何百回も何千回も叩けば、表面はゆがみ、輝き出してくる。おもしろいのは、そのへんで止めること。叩きすぎてなんら別のかたちにしたりしない。作業としては鉄をひたすら叩くという単純作業で、その効果は鉄の表面をこんもりと輝かせるだけ。鉄のかたまりは高いし、身体には応えるし、持ち運びは不便だし、作品が次々売れるとは思えないし、ストックするにも大変だし、端から見ればいいことなどひとつもないように思える。それなのに、いやそれだからこそ、よくこんなことを30年も繰り返してきたもんだとつくづく感心する。

2011/01/08(土)(村田真)

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