毎月1日、15日号発行の美術館・アート情報をお伝えするWebマガジン(次回4月3日更新予定)

artscapeレビュー

小吹隆文のレビュー/プレビュー

プレビュー:咲くやこの花コレクション 三宅砂織個展

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会期:2017/03/10~2017/03/25

SAIギャラリー[大阪府]

スナップ写真をモデルにモノクロ反転したネガのドローイングを制作し、それをコンタクトプリントした作品で知られる三宅砂織。VOCA賞(2010年)咲くやこの花賞美術部門(2011年)、京都府文化賞奨励賞(2016年)など華々しい受賞歴を誇り、昨年には文化庁新進芸術家海外研修制度でパリに1年間滞在していた彼女が、帰国後初の個展を開催する。三宅の作品に描かれているのは、誰もが経験したことがあるような日常の一コマが多い。また、身近な他人のフォトアルバムを覗いたときのような、間接的な記憶の情景も登場する。それらを通して感じるのは、確かだと思っていた自分の記憶や視覚が、じつは非常に曖昧で代替可能なものかもしれないという不安だ。その一方で、謎めいたイメージにずるずると引き込まれてしまうもう一人の自分も実感できる。本展に新作がどの程度含まれるのか、本稿執筆時点では定かでないが、彼女の作品を未見の人には打ってつけの機会となるだろう。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:江之子島芸術の日々2017「他の方法」

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会期:2017/03/10~2017/03/19

大阪府立江之子島文化芸術創造センター、フラッグスタジオ、マークスタジオ[大阪府]

いまや日本全国に波及した感のある「地域アート」。それを肯定も否定もせず、しかし「他の方法」もあるのではないかと提案するのが本展である。会場は、公立のアートセンターと2棟のマンション。少なからぬ日本人が住処とする住宅環境に作品を配し、日常を新たな視点から見つめ直すきっかけにしようというのだ。参加作家は、佃弘樹、木村充伯、彦坂敏昭、村田宗一郎、杉山卓朗など、東西の若手作家10名。彼らが制作したさまざまなジャンル、傾向の作品を生活の場に挿入することにより、従来の地域アートが標榜してきた「町おこし」や「観客参加」とは異なるアートと日常の関係を問い直そうというのだ。展覧会自体はもちろん、会場ツアーやワークショップなど関連イベントも充実しており、新タイプの都市型アートプロジェクトとして注目したい。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:The Legacy of EXPO’70 建築の記憶─大阪万博の建築

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会期:2017/03/25~2017/07/04

EXPO’70パビリオン[大阪府]

高度成長が頂点を迎える時期に開催され、戦後日本の記念碑というべき一大イベントだった1970年大阪万博(日本万国博覧会)。数々のパビリオンが立ち並び、さながら未来都市のようだった会場は、現在は公園となり(万博記念公園)、往時をしのぶ建築は《太陽の塔》などわずかしか残っていない。そのうちのひとつ《EXPO’70パビリオン》(元・鉄鋼館)で、大阪万博の建築をテーマにした企画展が行なわれる。展示物は、パビリオンの設計図、構想模型の写真、約14年の月日をかけて完成したエキスポタワー模型の初披露と、同タワーが解体される過程を記録した写真225点など。大阪万博は建築史的にも重要で、エアドームや吊構造などの新技術がふんだんに導入された。また、建築の価値観が重厚長大から軽く、小さく、動くものへとシフトするきっかけになったともいう。本展は、そうしたパビリオン建築の記憶をたどるとともに、現在に引き継がれているものを確認する機会となるだろう。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:風と水の彫刻家「新宮 普の宇宙船」

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会期:2017/03/18~2017/05/07

兵庫県立美術館[兵庫県]

兵庫県三田市にアトリエを構え、風や水などの自然エネルギーで動く彫刻作品で国際的に活躍する新宮晋(1937~)。世界各地の公共空間に約160点の作品を設置し、欧米の諸都市を回る野外彫刻展「ウインドサーカス」や、作品設置を通して世界各地の先住民と交流するプロジェクト「ウインドキャラバン」でも知られる彼が、過去最大規模の個展を開催する。安藤忠雄が設計した兵庫県立美術館をひとつの宇宙船に見立てた本展では、新作約15点を中心に、映像、彫刻模型、絵本などを展示。また、自然の力で自立する未来の村「ブリージング・アース」のプランも紹介される。彼の新作を大量に見られるのはもちろん、建築との共演も非常に楽しみだ。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

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プレビュー:小出麻代 うまれくるもの

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会期:2017/03/10~2017/04/09

あまらぶアートラボ A─Lab[兵庫県]

2015年に開館した兵庫県尼崎市のアートセンター「あまらぶアートラボ A─Lab」。そのオープニング展として行なわれた「まちの中の時間」では、出展作家のヤマガミユキヒロ、小出麻代、田中健作が展覧会終了後に1年間かけて尼崎市でフィールドワークを行ない、その成果を2016~17年に順次個展として発表するプロジェクトが組まれていた。すでに昨年にはヤマガミが個展を行ない、2人目として登場するのが小出麻代である。小出は、糸、紐、紙、セロファン、鏡、鉛筆、版画、照明などの小ぶりな素材を組み合わせたインスタレーションで知られる作家だ。展示空間の特性や、自身の記憶、感性を自然なかたちで融合させる術に長けており、繊細でしなやかな作風には定評がある。「うまれくるもの」と題した本展で、彼女が尼崎で見つけ、感じたものに思いを馳せたい。

2017/02/20(月)(小吹隆文)

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小吹隆文

1964年生まれ。美術ライター。情報誌の編集部勤務を経て、2005年より関西を拠点にフリーランスで活動。主に雑誌、新聞、ウェブで原稿を執筆し...

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2017年03月15日号