2018年06月15日号
次回7月2日更新予定

artscapeレビュー

その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ

[シンガポール]

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイを見下ろしてから、地上に降りてエリア内に入る。浮遊する巨大な子どもの作品など、現代アートをまぶした巨大な植物園だ。が、なんと言っても人工巨木のスーパーツリーが林立する風景が印象的である。これもキッチュだが、アイコンとしては成功している。残念ながら、今回の滞在では、LPAがデザインしたここの夜景を体験しなかったが、夜にも訪れるべきだった。

2017/06/14(水)(五十嵐太郎)

セントーサ島

[シンガポール]

セントーサ・エクスプレスに乗って、対岸の島に上陸する。ユニバーサル・スタジオや水族館、アドヴェンチャー・コーブ・ウォーターパークなど、各種のポストモダン的なアトラクションだらけのリゾート地である。島全体がエンターテイメントの場所として人工的に計画・開発されている。ダニエル・リベスキンドのコンドミニアムも、この水際から眺めるのがベストショットだった。セントーサ島で笑っちゃうのが、丘をのぼって、島の中心部にそびえたつ高さ37mのセントーサ・マーライオンである。マーライオンを巨大化したものだ。リゾートワールド・セントーサはいわば借り物のデザインだが、これはシンガポールのオリジナルである。強力なアイコン建築ゆえに、スケールレス感が際立つ。日本で言えば、巨大仏像がこれに近いだろうか。

写真:左上から=セントーサのモール、アドヴェンチャー・コーブ・ウォーターパーク、ホテル 右上から=セントーサ・マーライオン、水族館

2017/06/13(火)(五十嵐太郎)

高橋孝一 付録の構造

会期:2017/05/22~2017/06/16

株式会社紙宇宙 ショールーム[東京都]

雑誌の付録というものは、本来それを目当てに買うものではなく、必要なものでもないし、必ずしも実用的なものではなかったりするのだけれども、なにかが付いてくるということ自体にワクワクさせられるものがある。ただオマケだからということではなく、その企画でしか手に入らないオリジナルというところが心をくすぐるのかもしれない。本展は、高橋ペーパーデザインを主宰する「ペーパーアーキテクト」高橋孝一氏(1940-)が手がけた集英社の少女マンガ雑誌『りぼん』の付録デザインを紹介する展覧会。1994年に少女マンガ誌史上最高発行部数255万部を達成した『りぼん』の人気のひとつは、付録の存在であったともいわれている。高橋氏が『りぼん』の付録デザインを始めたのは昭和50年代。毎号数点が付属する付録のうち、高橋氏が手がけたのはペーパークラフトによる小物類だ。レターラック、ギフトボックス、ポケットティッシュケース、ペンケース等々、毎号工夫を凝らした付録が、組み立て前の紙の状態で挟み込まれ、子供たちは説明に従って自分たちで型を抜き、紙を折り、挟み込み、組み立てる。あらかじめ糊付けされたパーツが含まれる場合もあるが、制作にはハサミも糊も必要ない構造になっている。毎号5社ほどが数点ずつプレゼンテーションを行ない、採用が決まると編集部が漫画家にイラストを依頼し、実制作がスタートする。付録のデザインが決まるのは雑誌発行の半年も前。たとえばクリスマス用のギフトボックス「香澄ちゃんツリーボックス」(1986年12月号)のデザインは7月初めに決定されている。
展示品は、高橋氏が手がけた付録の実物、図面、プレゼン時の写真(図案はなく、構造のみのダミー)。なかには帯が付いたまま組み立てられていない付録もある。集英社から高橋氏のもとに送られてきた複数の完成品が、そのままの状態で大切に保存されているのだそうだ。そして今回の展示でなによりも素晴らしかったのは、展示されている付録を手にとり、もとの一枚の紙の状態に戻して再度組み立てる体験ができたことだ(それが可能なのは、高橋氏の作品が糊を使わずに組み立てる構造だからだ)。組み立ててゆくに従って、柔らかい紙が強度を持った構造に変化するさまには、今更ながら驚かされる。強度だけではない。たとえば「結ちゃんデイリーボックス」(1986年6月号)は、蓋を閉めるとカチンという気持ちの良い音がする。これが紙だけで、それも子供たちが簡単に組み立てられる構造として実現されているのだ。特殊な形をしたボックスでは紙の余白を無駄にせず、キャラクターを使った栞にする工夫もされている。
今回展示された作品は1980年から1988年までの23点で、高橋氏が手がけた『りぼん』の付録の3分の1程度。今後残りの作品の展覧会も計画しているとのことで、楽しみである。ちなみに『りぼん』最新号(2017年7月特大号)の付録を見てみると、ビニル製のポーチ、ミニメモ帳とペン、ヘアゴム、マスキングテープなどの小物類で、残念なことにペーパークラフトは含まれていない。8月号はパスケースだ。ペーパークラフトは流行らないのだろうか。ペーパークラフトには組み立て式であるがゆえに本誌よりもずっと大きな構造を付属できる利点、そしてなによりもそこにはつくる楽しみがあると思うのだが。[新川徳彦]


会場風景

2017/06/13(火)(SYNK)

サラダ・ドレッシング(salad Dressing)事務所訪問

[シンガポール]

モダンなデザインの競馬場を商業施設にリノベーションしたザ・グランドスタンドへ。最上部は観客席に向かって大きく庇を張り出す。最上階にあるランドスケープの事務所「サラダ・ドレッシング」を訪問した。多様な植物の育ち方や水質浄化の実験を行ないつつ、生態系から考えるプロジェクトを世界各地で進行している。

2017/06/12(月)(五十嵐太郎)

シンガポール建築群

[シンガポール]

都心に戻り、ピナクル・アット・ダクストン、オアシア・ホテル、マックスウェルチェンバーズ、東京海上のビルなどを見る。これらは前に訪れたときにはなかった建築群である。伊東豊雄が手がけた《キャピタ・グリーン》は赤い冠をいだく緑化ガラス建築で、地上のくねくねした部分はオラファー・エリアソンの作品だった。容積率の緩和が受けられるボーナス制度によって、多くのビルがパブリックアートを導入している。KPFによるビルは建設中で、仮囲いには世界的な建築事務所! のプロジェクト! と、大々的に宣伝していた。そこまで自慢して商品になる固有名なのか? という違和感もあるが、リベスキンドのコンドミニアムのときは、彼がピアノを演奏する販促のためのテレビ・コマーシャルもあったらしい。いやはや建築家はスター扱いである。

写真:左上2枚《キャピタ・グリーン》 左下=オラファー・エリアソンの作品 右上から=ピナクル・アット・ダクストン、オアシア・ホテル、東京海上のビル

2017/06/12(月)(五十嵐太郎)

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