キュレーターズノート
バックナンバー
イメージを(ひっ)くりかえす──記録集『はな子のいる風景』
[2017年11月01日号(松本篤)]
はな子死亡15:04。01:27倒れる──。 2016年5月26日、1頭の象が69年の生涯を閉じた。 その日の飼育日誌は、時系列がひっくり返っていた。 “生まれてから死ぬまで”を逆再生させる、弔いの1冊を編もうと思った。 人と象の間を隔てる...
進化するラボ駆動型文化施設、課題解決から実験へ ──メディアセンター WaterShed
[2017年11月01日号(菅沼聖/竹下暁子)]
本連載では国内外の文化施設の活動紹介を通じて、社会の中でのミュージアムの可能性を扱ってきた。狭義のミュージアムだけではなく、実験的な活動を展開する文化施設では、どのような取り組みが行なわれているのだろうか。今回はイギリス南西部ブリストルに...
死角だらけの視覚──オ・インファン《死角地帯探し》と視覚障害
[2017年11月01日号(田中みゆき)]
人間は日常的に触れる情報のうち、8割方を視覚から得ていると言われる。そう聞くと、視覚がないことは、それらの情報の8割を健常者と同じようには得ていないことになる。それは大層不便なことにも思えるが、考え方を変えれば、一般的な人間を形成する情報...
名古屋の港まちをフィールドにしたアートプログラム「MAT, Nagoya」
[2017年10月15日号(吉田有里)]
「アートそのものは、まちを変えるためには存在していません」。まちづくりの活動と連動したアートプログラムとして挑発的かつスリリングな言葉をスローガンに掲げて走り出したMinatomachi Art Table, Nagoya [MAT, N...
西野達の“九州侵攻”
[2017年10月15日号(坂本顕子)]
「ホテル裸島 リゾート・オブ・メモリー」は、つなぎ美術館が中心となって運営する住民参加型のアートプロジェクトである。津奈木町は、野外彫刻の設置をはじめ、30年以上アートを生かした町づくりを続けてきたが、その拠点となる同館においても、廃校と...
飛生芸術祭2017
[2017年10月01日号(岩﨑直人)]
札幌では、2回目となる「札幌国際芸術祭」が10月1日、盛況のうちに幕を閉じた。ゲストディレクターとして迎えられた大友良英氏がその辣腕ぶりを発揮し、他にあまり類例を見ないような異種混合的な総合芸術の祭となった。 じつは、このとき、9月11日...
小沢剛《帰って来たK.T.O.》、「コレクション+ アートの秘密 私と出会うための5つのアプローチ」
[2017年09月15日号(住友文彦)]
さすが惑星直列の年である。私の周りもメディアも大型国際展の話題に触れる機会が多く、いつも以上に同時代の美術の動向をあれこれ考える材料が目につく。話題を集める作品やテーマに限らず、国内の各種国際展や芸術祭のほとんどが地域に目を向ける似た傾向...
もうひとつの美術館「木々の生命」展
[2017年09月15日号(伊藤匡)]
栃木県東部にある人口一万六千人の那珂川町。この街には美術館が三つもあり、それぞれ個性的な活動をしている。浮世絵の馬頭広重美術館、絵本のいわむらかずお絵本の丘美術館、そして、「もうひとつの美術館」である。
「実験場としてのミュージアム」のつくりかた ──科学博物館エクスプロラトリアム
[2017年09月01日号(菅沼聖/今野恵菜)]
前回は筆者が勤務している山口情報芸術センター[YCAM]を題材にこれからの公共文化施設と社会との関係性をラボやエデュケーターといった観点から論じた。今回は科学博物館という枠組みを超え、先進的な活動を行なうエクスプロラトリアムの取り組みを通...