artscapeレビュー
ニューアート展 NEXT2011 Sparkling Days
2011年11月01日号
会期:2011/09/30~2011/10/19
横浜市民ギャラリー[神奈川県]
横浜市民ギャラリーの企画展。曽谷朝絵、荒神明香、ミヤケマイが参加した。作品点数の多さと抑揚をつけた会場構成のおかげで、かなり見応えがあった。曽谷は日常的な事物を虹色の色彩で描いた油彩画のほか、室内全体にレインボーカラーのフィルムを張りめぐらせたインスタレーションも発表して、身体を光と色彩に埋没させるような陶酔感を味わわせた。立版古のような立体的な絵画を制作しているミヤケは、他の追随を許さないほどの作品点数で圧倒した。震災をテーマにしたインスタレーションは必ずしも成功しているとはいえなかったが、それでも絵画で描いた世界と絵画を見る世界をリンクさせたかのような会場の作り方がひじょうに効果的で、来場者を巧みに自分の世界に誘いこんでいた。そして荒神は、スパゲティの乾麺を一本ずつ組み合わせることで、空中楼閣のような巨大な都市のジオラマを作り出した。その全体を天井から吊り下げているため、上から見下ろすだけでなく、下から見上げることもできるのが楽しい。大小さまざまな建物、そのあいだをつなぐ階段、さらには塔や山。それらを構成する乾麺という素材が、一定の強度を担保していることは言うまでもない。けれども、現在の都市が一瞬のうちに瓦解してしまいかねないことを知ってしまったいま、ある一定の条件のもとではたちまち強度を失ってしまうという脆弱さの方が際立って見えたのも事実だ。私たちの都市は空中楼閣のように儚くも脆いのかもしれない。荒神のインスタレーションは、現代人が内側に抱えている不安定な都市感覚を的確に視覚化していた。
2011/10/16(日)(福住廉)