2023年02月01日号
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artscapeレビュー

江口智之×小寺創太「回顧展」

2023年01月15日号

会期:2022/12/17~2022/12/28

GALLERY10[TOH][東京都]

アーティストの小寺創太がインタビューされ、アーティストの江口智之が編集した《Artist Inteview》(2022)がスクリーンに投影されている。この映像作品は白い部屋の縦型カーテンの傍らで撮影されている。椅子がぽつんと1脚だけ置いてあって、そこに小寺が入ってくるのが冒頭だ。インタビューのアイスブレイクのように小寺が身に着けている服についての質問から応答が始まるのだが、これが何度かカットされてカチンコが鳴って同じような質問とやりとりが繰り返される。正直、なぜカットが入ったかはわからなかった。このことから、このインタビューにはおよそ台本があるか、質問事項だけが先に決まっていて小寺が返答を定めてきたかというように、作意の次元がいくつか見えてくる。

インタビュー映像は何度かカットされつなぎ合わされているが、前後の映像がホワイトアウトしたりクロスオーバーするようなディゾルブ編集が入ることはないから、映像にテンポをつけるような素振りはまったくない。自己紹介や展示に至った経緯、「いる派」とは何か、好きなアーティストや作品は何か。個人についてのことや展覧会に即したテンプレート的だが初見の観賞者にとっても入りやすい質問が配されていて、問答に拮抗はなく、小寺も衒いなくザクザクと答える。最後の「あなたにとってアートとは」という質問に小寺は「蔑称」である旨を説明して終わった。小寺は椅子から立ち上がり、映像のフレームから消えて、おのずと冒頭のシーンと同じ構図になって、作品はループする。ループした瞬間も同じ構図だが、少し外が明るい。映像は10分程度だが、撮影は数時間に渡っただろうかと推察できるようにつなげてあると言えるだろう。

GALLERY10のプライスリストにはいつも出展作品に併せた何かが商品化されている。今回の展示作品は非売品で、小寺にインタビューする権利と江口にインタビューされる権利が販売されていた。この双方へのインタビュー関連行為だけが販売されているさまは、展示作品である《Artist Inteview》の前述した映像としての成立ないし存在がサンプルで、なかったことにしてもいいと言っているようにも思えるし、映像の存在自体、あるいは、作品は手放さなさないものなので手放しませんと言っているようにも思える。発言や映像よりも、プライスリストが気になって仕方なかった。

なお、展覧会は無料で観覧可能でした。


展覧会情報(GALLERY10[TOH]Instagram):https://www.instagram.com/p/ClvdMv7yTcJ/

2022/12/28(水)(きりとりめでる)

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