2023年02月01日号
次回2月15日更新予定

artscapeレビュー

濱田祐史「入射と反射 Incidence and Reflection」

2023年01月15日号

会期:2022/12/01~2023/01/28

PGI[東京都]

1979年、大阪生まれの濱田祐史は、2003年に日本大学芸術学部写真学科を卒業後、東京を拠点に写真家として活動している。PGIでは、2013年の「Pulsar + Primal Mountain」を皮切りにコンスタントに個展を開催し、そのたびに思いがけない方向性をもつ作品を発表して驚きを与えてきた。視覚的に捉え難い「光」を可視化しようとした「Pulser」、プリントの色相を三原色(YMC)に分解して、それぞれの層を自由に組み合わせて再構築した「C/M/Y」、黒白とカラーで同じ光景を撮影し、それらを暗室で一枚の印画紙にプリントした「K」など、彼の仕事は写真という媒体の基本原理にもう一度立ち返ろうという志向性と、さらにその表現の可能性を拡張していこうとする意欲とを、両方とも含み込んだものといえる。

今回の、オフセット印刷やリトグラフの原板に使用するPS版を用いたシリーズにも、彼のしなやかで豊かな発想力、構想力が充分に発揮されていた。PS版は紫外線に感光するという特質を備えている。濱田はその機能を利用して、「目には見えないけれど、太陽から確かに届いている紫外光」を定着しようとした。しかも、PS版をカメラにセットしての撮影と、事物に押し当てて感光させるやり方とを、両方とも試みることにした。PS版をくしゃくしゃに折り曲げて、光を直接写しとった作品もある。このようなさまざまな実験の繰り返しの結果として、本作はあたかも科学者やアーティストたちが、写真術の草創期に試行錯誤を重ねつつ未知の像を見出そうとしていた頃を思わせる、活気あふれる作品群として成立していた。濱田のここ10年余りの活動は、かなりの厚みと広がりを持つものになりつつある。そろそろ、より規模の大きな写真展の開催や写真集の刊行を考えてもいいのではないだろうか。


公式サイト:https://www.pgi.ac/exhibitions/8337

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