artscapeレビュー
その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー
公衆無線LAN普及の鍵は? ハンバーガーとiPhoneと…
インターネットが浸透し始めた21世紀初頭、公衆無線LANは近いうちに爆発的に広まるかと思いきや、現実はこれまで遅々として進んでこなかった。とはいえ、公衆無線LANを望むユーザーは潜在的に増えており、またそのために必要な通信環境は整ってきたといえよう。ネットブックやスマートフォンは、公衆無線LANの利用によりさらに本領を発揮するだろう。ソフトバンクモバイルは、こうした利用者のニーズを先取りするかのように、iPhone 3Gユーザーに「公衆無線LANし放題」(BBモバイルポイント)を無償提供することを昨年11月に発表。これにより、iPhoneで、マクドナルドの店舗、JR駅構内、空港、カフェなど、全国約3,500カ所のアクセスポイントで無線LANを利用したインターネット接続が可能になる。2008年の携帯電話契約数で、Softbankは、純増数の面で、docomoとauを抑え一位に輝いた(累計契約数、2,000万件を突破)。iPhoneは、Softbankの端末のなかでも常に上位に位置しており、iPhone投入はSoftbankの業績好調に少なからぬ影響を与えている模様である。公衆無線LANのサービスの充実度は、まだまだ地域によって格差が激しい。しかし、着実に増えてきているのは確かである。それにより、私たちのネットライフスタイルは少なからず変わっていくはずである。また、それに応じた新たな製品とデザインが登場するだろう。
・ソフトバンク BBmobileネットワーク
・47News
・ソフトバンク 累計契約数2,000万件
2009/01/14
グラフィック・デザインの鬼才、木村恒久、他界(享年80歳)
フォトモンタージュの技法を駆使した作品で知られるグラフィック・デザイナー、木村恒久氏が、昨年12月27日、逝去された。60年、日本デザインセンターの設立に参加(後に独立)。65年、戦後第2世代のグラフィック・デザイナー、粟津潔、福田繁雄、宇野亜喜良、永井一正、和田誠ら11人が集まって開催したグループ展「ペルソナ」に参加するなど、戦後の高度経済成長期に頭角を現わしたデザイナーのひとりであった。60年代末から70年代の日本社会の転換期には、デザインの仕事と並行して、雑誌『デザイン批評』等で粟津潔たちとともに、舌鋒鋭いデザイン・社会批評を展開。1979年、現代社会を鋭く批評するフォト・モンタージュ作品を集成した『キムラカメラ─木村恒久のヴィジュアル・スキャンダル─』(パルコ出版)を出版。79年度の毎日デザイン賞を受賞。81年に開催された『ボードリヤール・フォーラム'81』の討論会では、来日したフランスの哲学者ジャン・ボードリヤールと文明論を闘わせた。ご冥福を祈りたい。
2009/01/14
The Den-en Dream MOTOKO+井上英樹
会期:1/9~2/1
shin-bi[京都府]
写真家のMOTOKOと編集者の井上英樹が滋賀の農村を取材して、写真とテキストによる展覧会を開催。どちらの仕事も丁寧で、土地に根差して生きる人々への共感が滲み出ていた。長文を読みつつ写真も見るのは少々骨が折れたが、やはり両方に目を通した方が圧倒的に説得力がある。展示室ではPCのスライドショーでも写真が展示されていたが、ここにテキストを組み込む手もあったんじゃないかな、とも思った。
2009/01/10(土)(小吹隆文)
Appleの異変 Macworld Expo、Apple CEO スティーブ・ジョブズ不参加
Macworld Expoとは、アップルや関連製品のユーザーやベンダー、会社などが一堂に会するビジネスショーであり、1985年来開催されている。とりわけ、正月明けに開催されてきたサンフランシスコでのエキスポは、Apple関係者 とMac愛好家にとっては、年初の重大イベントであった。ここでAppleの革新的な製品が発表されることも多く、Macユーザーは固唾をのんで開催を楽しみにしてきた。なかでも、Appleのカリスマ、創設者のスティーブ・ジョブズの基調講演は、Appleの革新的な機能とデザインを備えた新製品を話術巧みに紹介する最重要イベントであり、常に注目の的であった。Apple社の参加は今回のExpoで最後となり、さらにスティーブ・ジョブズ(近年、健康状態が良くなかった)が基調講演を行なわないというニュースは、Apple社の株価にも影響するなどさまざまな反響を呼んでいる。20世紀後半から21世紀初頭のプロダクトデザインの歴史という視点から見てみると、Apple社は間違いなく、Macintosh Plus, iMac, iPodなどでその先端を切り開いてきた。ジョブズは、Appleデザインの推進者でもあり、広くデザインの世界にインパクトを与える震源になってきた。ジョブズ不在の事態は、Appleの現在を象徴しているのかもしれない。パソコンはある意味で成熟産業になってきた。真の意味での革新を続けるのは難しい。完成度を高めているMac OSXも、次世代のバージョンについての話題を耳にすることも少なくなった。Macworld Expoで発表された新製品の少なさが如実に物語っている(17インチのMacBookのみである)。それくらいであれば、たしかに、体調の優れないジョブズがわざわざ出てくる必要はないのかもしれない。パソコンという存在自体が、すでに旧世界に属すると感じられ始めているのかもしれない。ポスト・ジョブズの時代に入り、デザインと機能面でAppleの革新は、今後、どのように進むのだろうか。AppleもChangeの時期を迎えている。
2008/12/31(水)
NB ネットブック の普及
2008年のヒット商品のひとつに通称「ネット・ブック」がある。ミニ・ノートパソコンとも言われる。主にIntel Atomプロセッサーを搭載し、価格は5万円前後で安価、また、小さいながらも携帯やスマートフォンとは比べ物にならない使いやすさのキーボードを備え、基本ソフトは最も普及しているウィンドウズXPやVistaという使い慣れた操作性。無線LANに接続でき、重量は1kg前後で持ち運びに便利。こうした手頃でバランスのとれたスペックが人気の要因である。無線LANを利用できるスペースが近年、増加してきたこともヒットの背景にある。Acerなど台湾のメーカーが火をつけたネット・ブックマーケットに、Dellなどのアメリカのメーカーだけでなく昨秋より東芝やNECなど国内メーカーも参入し、年末商戦での電化製品の目玉となった。ヘビーなアプリケーションを動かす仕事用のパソコンほどのスペックがなくても特にネットでのHPブラウジングやEメールのやりとりを主目的とするのであれば機能的には十分であるという見切りのよさが歓迎されたようである。かつてモバイル用小型ノートパソコンがあったが、小型ゆえに逆に価格は高かった。やっとモバイル用のバソコンが手頃な価格で流通し出したのである。新年に入り、さっそくソニーがVAIO type Pでこの領域に参入。今年、どれほどの浸透を見せるのか注目される。
ネットブックが市場の2割を越える。エイサーとASUSで9割占有(PC
Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1006/netbook.htm
2008/12/31(水)