artscapeレビュー
グラフィック・デザインの鬼才、木村恒久、他界(享年80歳)
2009年01月15日号
フォトモンタージュの技法を駆使した作品で知られるグラフィック・デザイナー、木村恒久氏が、昨年12月27日、逝去された。60年、日本デザインセンターの設立に参加(後に独立)。65年、戦後第2世代のグラフィック・デザイナー、粟津潔、福田繁雄、宇野亜喜良、永井一正、和田誠ら11人が集まって開催したグループ展「ペルソナ」に参加するなど、戦後の高度経済成長期に頭角を現わしたデザイナーのひとりであった。60年代末から70年代の日本社会の転換期には、デザインの仕事と並行して、雑誌『デザイン批評』等で粟津潔たちとともに、舌鋒鋭いデザイン・社会批評を展開。1979年、現代社会を鋭く批評するフォト・モンタージュ作品を集成した『キムラカメラ─木村恒久のヴィジュアル・スキャンダル─』(パルコ出版)を出版。79年度の毎日デザイン賞を受賞。81年に開催された『ボードリヤール・フォーラム'81』の討論会では、来日したフランスの哲学者ジャン・ボードリヤールと文明論を闘わせた。ご冥福を祈りたい。
2009/01/14