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ウフィツィ美術館展──黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで

2014年11月15日号

会期:2014/10/11~2014/12/14

東京都美術館[東京都]

15世紀のギルランダイオからペルジーノ、ボッティチェリ、16世紀のブロンヅィーノ、ヴァザーリまで、意地悪な言い方をすれば3大巨匠を欠いたルネサンス絵画展。まあ3大巨匠は昨年日本に来たし(もちろん代表作は来なかったけど)、それ以前と以後を見比べるにはいい機会だ。実際、初期の無表情な硬い人間像と、後期の動きと喜怒哀楽のある人物表現の違いは、まるで使用前・使用後のようだ。これはたんにスタイルの違いというだけでなく、初期のテンペラやフレスコ画と後期の油彩という画材の違いも大きいだろう。もうひとつ、額縁にも注目すると、初期は画面と一体化したものや、祭壇画のように額縁込みで作品と見なせるものが多かったのに、後期になると現在のタブローと同じく交換可能な額縁がつけられるようになる。絵画としての自立の一歩だ。

2014/10/10(金)(村田真)

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