artscapeレビュー

2009年11月15日号のレビュー/プレビュー

朝倉摂新作展

会期:2009/10/12~2009/10/24

ギャルリーパリ[神奈川県]

「リア王」「ゴドーを待ちながら」など芝居やオペラを猫たちが演じる0号絵画。赤丸がポチポチついている。カウイフ画家ニ私モナリタヒ。

2009/10/16(金)(村田真)

糸川知佐 展 Tapestry Works~私の中と外をつなぐもの~

会期:2009/10/10~2009/10/16

大阪成蹊大学芸術学部 ギャラリースペースB[京都府]

大阪成蹊大学芸術学部の研究生のテキスタイルワークの展覧会。“おっさん”やプロレスラーやヤンキーなどのユーモラスなモチーフがチャーミングで思わず笑ってしまうのだが、女性らしいしなやかで細やかな感性がうかがえて不思議な魅力を放っていた。白く明るい空間にとても良く似合う清々しい展示だった。

2009/10/16(金)(酒井千穂)

近藤哲雄《するところ》

[東京都]

竣工:2009年

SANAA出身の建築家近藤哲雄による、200平米程度の築40年の古い工場の改修。一階が印刷所、二階が地域の人たちがワークショップ等を通じて交流するためのスタジオ兼事務所。紙や印刷を活かしたワークショップが行なわれるという。外壁は白く塗られ、3カ所に大きな開口部が開けられた。工場という閉じた空間を、街に開いていく意図が込められているという。また二階の床の一部が大きく切り取られ、上下階がつながり、一階の印刷機の様子を見ることができる。特に、開口部の開き方が興味深い。道路に面した長辺側面の開口部は、建物全体のプロポーションを異化させるくらい巨大であり、まるで外壁が「紙」でできているかのような印象もある。この開口部の大きさとリズムからは、ル・コルビュジエのオザンファンの住宅の開口部も想起された。サッシ枠の見付けがかなり細く、そのことが開口部の大きさを余計に引き立てていたといえよう。40年の間に開けられた複数のタイプの開口部が同居していることも面白い。抽象的な空間を獲得すると同時に、歴史を内包し、下町の空間にもなじんでいた。

写真提供:近藤哲雄

2009/10/17(土)(松田達)

ミコライ・ポリンスキー

会期:2009/09/25~2009/10/31

ZENSHI[東京都]

初めて訪れる神田方面の新しいギャラリー群。まずは神田駅から歩いて5分ほどのゼンシ。正方形に近い空間の壁の半分の高さに黒い線が引かれ、そこに中心が来るように正方形のタブローや絵葉書を展示している。絵葉書は時間・空間の象徴として使われているらしい。ミポリンは冷戦下のポーランド生まれ。

2009/10/17(土)(村田真)

宮本隆司「草・虫・海」

会期:2009/09/18~2009/10/17

TARO NASU[東京都]

海と島を写したピンホール写真が1点に、虫を印画紙に置いて直接露光したフォトグラムが多数。虫はセミ、ハチ、トンボ、蚊などいろいろだが、なぜかセミだけは上向きで、あとは下向きに垂直に並べられている。宮本さんによれば、本来はそれらを縦に展示してコンスタンティン・ブランクーシの《無限柱》のようにしたかったとのこと。たしかにセミは地下から垂直に地上へ出てくる点で《無限柱》を思わせるし、そもそも地下の闇をくぐり抜けて日の目を見る点で写真と似ていなくもない。

2009/10/17(土)(村田真)

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