artscapeレビュー
佐藤千重展
2016年09月01日号
会期:2016/07/26~2016/07/31
LADS GALLERY[大阪府]
1990年代前半から個展や公募展で活動したものの、長期の活動休止期間があり、この度6年ぶりの個展を開催した佐藤千重。今回彼女が発表した作品は、動物、土偶、祭器などから着想したオブジェと、それらとは対照的にモダンデザインを思わせる流麗なフォルムのオブジェであった(少数ながら器もあり)。どの作品も造形のキレが素晴らしく、一目見た瞬間に「ただ者ではないぞ」と思わせる。釉薬や化粧土の扱いも見事だ。これだけの資質を持つ人が、なぜ長期間にわたり活動を休止したのか、そしてなぜ活動再開後にいきなりハイレベルな作品を作り得たのか。プライベートを詮索する気はないが、そのミステリアスな経歴も作家への興味をかき立てる。今後はコンスタントに活動を行なうとのこと。陶芸関係者の注目をあつめるのは間違いないだろう。
2016/07/29(金)(小吹隆文)