artscapeレビュー
ディズニープリンセスとアナと雪の女王展
2016年09月01日号
会期:2016/07/16~2016/08/15
大丸ミュージアム<梅田>[大阪府]
ウォルト・ディズニーは、1937年に初めて長編アニメーション「白雪姫」を誕生させ、王子様と結ばれ幸福を掴む、一連のプリンセス像を創出した。本展は、「白雪姫・シンデレラ・眠れる森の美女・リトル・マーメイド・美女と野獣・アラジン・塔の上のラプンツェル・アナと雪の女王」の歴代プリンセス9人を取り上げて、ディズニー・アーカイヴの所蔵するコレクションからセル画・模型・フィギュア、実写版映画の衣装等を展示するもの。
ウォルト・ディズニー・カンパニーが生み出した、原作の童話とは異なる一定の「ヒロイン」像は戦後以降、全世界に広まって、テーマパーク・実写映画・ミュージカルへの展開も通じ、不動の地位を築いたといえよう。ディズニー・プリンセスのキャラクター造形をジェンダー問題からみるならば、作り手/男性の視点のみを反映した初期作品から、時代の変遷とともに新たな諸価値も取り入れられつつあることもわかる。言うなれば、保守的な価値観や秩序に従順なヒロインから、自ら運命を切り開こうとするポジティブな意思をもった女性像への転換である。加えて「アラジン」のジャスミンは肌の色が褐色であることから、国際化の進むなかで、昨今のディズニー映画がダイバーシティにも配慮している様子も窺える。通覧中、ディズニーが再生産し続ける少女にとっての「夢」の社会的影響と普遍性について思いを馳せつつ、展示の最終部「アナ雪」の映像シアターへ突入。ここに至って、手書きのセル画から3Dコンピューターアニメーションへの技術発展に関して、時代の大きな変化を実感した。[竹内有子]
2016/08/14(日)(SYNK)