artscapeレビュー

福住廉のレビュー/プレビュー

山本竜基 「私 心 景」

会期:11/26~1/17

MIZUMA ART GALLERY[東京都]

自分をモチーフにしたリアルな絵を描く山本竜基の新作展。無限増殖する「わたし」の光景を描いた前回の個展から打って変わり、今回は自分の母親をモチーフにした作品が目に付いた。学生時代の母親を写した写真をもとに同時代の自分の姿を重ねて描いた大作は、たしかにマザコン魂が全開した作品といえるが、その一方で意外なことに「母親」というモチーフが現代美術のテーマとして十分に扱われてこなかった経緯を考えると、山本の試みは画期的といっていい。「自分」や「実母」という、ふつうは正面から向かい合うことを避ける対象に、真正面から対峙するたくましい心意気が、山本竜基の強さだ。

2008/12/27(土)(福住廉)

石田徹也──僕たちの自画像展

会期:11/9~12/28

練馬区立美術館[東京都]

石田徹也の回顧展。時代順に作品を展示することで、石田徹也の「自画像」の変遷を丁寧に追っていく構成となっていた。一昨年の静岡県立美術館での回顧展と同様、今回も来場者が自由に書きこめるノートが会場に用意され、そこにはさまざまな思いが書き留められていた。

2008/12/26(金)(福住廉)

エマニュエル・リヴァ展 HIROSHIMA 1958

会期:12/10~12/29

銀座ニコンサロン[東京都]

フランスの女優、エマニュエル・リヴァによる写真展。1958年、アラン・レネ監督の『ヒロシマ・モナール』の撮影のため広島を訪れたリヴァが、映画撮影の合間を縫って撮りためたモノクロ写真を発表した。写された光景はたしかに50年前の広島にはちがいないものの、写真のありようとしては、いまもって新しく、とてもアマチュアの写真とは思えないほどすばらしい。

2008/12/25(木)(福住廉)

蜷川実花 展──地上の花、天上の色──

会期:11/1~12/28

東京オペラシティアートギャラリー[東京都]

会場に足を踏み入れた瞬間、奇妙な既視感を覚えたが、それが何なのかすぐには分からなかった。けれども、原色をふんだんに使ったド派手な写真を見ていくと、その展示風景が日展のそれに似ていることに気づかされた。そう、2段掛けや3段掛けを常套手段とする、狭い壁面に絵を詰め込む展示手法が、ここで見事に踏襲されているのだ。そのことに自覚的なら、壁面に遠近法的な奥行き感を感じさせる西洋的なテクニックとは真逆の、日本の土着的な展示方法をアイロニカルに反復する確信犯として評価できるが、どうやらそういうわけでもなさそうだ。

2008/12/25(木)(福住廉)

HARAJUKU PERFORMANCE PLUS SPECIAL

会期:12/20~12/24

ラフォーレミュージアム原宿[東京都]

ラフォーレ原宿が主催するダンス、お笑い、アート、音楽を一挙に見せるパフォーマンス公演の3日目。山川冬樹×飴屋法水は、飴屋が腕から採血した血液を額縁に収めた白いキャンバスに滴らせながらドラムを叩き、山川がみずからの心拍音にあわせて明滅するランプの下で歌い上げたが、うしろのほうで嶋田久作がグラスの中にコインを落とす音をひたすら繰り返していた。このほかにも、無言のままただ肉弾戦のバトルロワイヤルを繰り広げたcontact Gonzoや、勢いあまってマイクを食べちゃった室伏鴻が光っていた。

2008/12/23(火)(福住廉)