artscapeレビュー

蜷川実花 展──地上の花、天上の色──

2009年02月01日号

会期:11/1~12/28

東京オペラシティアートギャラリー[東京都]

会場に足を踏み入れた瞬間、奇妙な既視感を覚えたが、それが何なのかすぐには分からなかった。けれども、原色をふんだんに使ったド派手な写真を見ていくと、その展示風景が日展のそれに似ていることに気づかされた。そう、2段掛けや3段掛けを常套手段とする、狭い壁面に絵を詰め込む展示手法が、ここで見事に踏襲されているのだ。そのことに自覚的なら、壁面に遠近法的な奥行き感を感じさせる西洋的なテクニックとは真逆の、日本の土着的な展示方法をアイロニカルに反復する確信犯として評価できるが、どうやらそういうわけでもなさそうだ。

2008/12/25(木)(福住廉)

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