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ポート・ジャーニー・プロジェクト 横浜⇔メルボルン プルー・クローム個展「リフレクション! 横浜─メルボルンをつなぐ光」

2012年10月15日号

会期:2012/07/16~2012/09/02

象の鼻テラス[神奈川県]

タイトルが長い展覧会は前口上や言い訳が長いのにも似て、あまり内容は期待できない。「ポート・ジャーニー……」の長いタイトルも前半はこの個展の前提を説明するものだが、これがすでに言い訳めいている。つまり横浜は世界各国の港町との文化交流をやっていて、今回はメルボルンとの交流の証として展覧会を開くのだから、意地悪くいっちゃえば文化交流が「主」で、作品は「従」ですよと読めなくもない。実際、会場を訪れたら壁や床に蛍光色のカッティングシートが貼られ、窓ガラスには文字が書かれ(なにが書いてあったか忘れたが)、それなりにインスタレーションしているのだが、会場自体がオープンスペースであるうえ、訪れた日が最終日だったせいか、あるいはなにかイベントが終わったばかりだったからなのか、床に音響か照明の機材が置かれたままになっていて、とても作品を鑑賞する雰囲気ではなかったのだ。これでは作品がかわいそう。おそらくワークショップにでも参加していれば「文化交流」も体験できて、作品の見方も違ったかもしれない。まあ作者自身も「作品そのものは二次的なものであり、作品に関わることで生まれる文化的交流が重要である」と『象の鼻ジャーナル』Vol.2(2012.09)のなかで語っているが。

2012/09/02(日)(村田真)

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