2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー

KIYOME MO/NU/MENT

会期:2017/06/30~2017/07/02

スパイラルガーデン[東京都]

そういえば審査したのは何年前だっけ……と、忘れたころに(3年前でした)コンペで選んだ作品の発表会が開かれた。タイトルからはなんのコンペか想像がつかないだろうが、じつは木曽に本社を置く檜風呂の制作販売会社、檜創建が主催する木曽檜を使った浴槽のコンペなのだ。タイトルの「KIYOME」とは「清め」「浄め」であり、入浴の婉曲な表現だ。発表まで3年もかかったのは、コンペで選ばれた彫刻家の木戸龍介によるプランが卵型のシェルターを持ち、おまけに表面の一部に網状の透かし彫りを入れるという手の込んだデザインだったため、制作に予想以上の時間がかかったから。主催者あいさつ、審査員の講評、乾杯に続き、希望者は卵の内部に入って(湯は張ってないが)入浴気分を堪能できる。入ってみると檜の香りが漂うなか、透かし彫りから外の光が星明かりのように差し込んできて、これはぜひ湯を張って入りたいと思わせるデキだった。

2017/06/29(木)(村田真)

「洸庭」名和晃平|SANDWICH 図録刊行記念対談

会期:2017/06/25

神勝寺 無明院[広島県]

名和晃平×五十嵐で『洸庭』図録刊行記念対談@神勝寺無明院。今回、対談を通じて新しく知った事実について記しておきたい。あいちトリエンナーレ2013における彼の作品《foam》(最近、PerfumeのCMで似たセットが使われているが)になる前の別プランが、じつは闇の中で床いっぱいに水をしくものだった。結局、納屋橋の会場では闇が十分でなく見送ったが、これが発展して《洸庭》につながった。そして、もうひとつ思い出したことがあった。彼がキリンアートアワード2003に入賞したとき、筆者は審査員でその受賞展の担当だったが、「PixCell」の展示で彼が空間にとてもこだわり、影がでない特別な白い部屋を設けたこと。つまり、作品を単体で考えず、いかなる環境で見せるかを最初から重視していたのである。それを突き詰めると、今回のプロジェクトのように、建築をまるごとつくることに発展するのは必然だろう。

2017/06/25(土)(五十嵐太郎)

名所絵から風景画へ─情景との対話(後期)

会期:2017/05/27~2017/06/25

三の丸尚蔵館[東京都]

久々に三の丸尚蔵館へ。大手町から皇居東御苑に入ると外国人が多くなる。皇居だから西洋人ばかりだと思ったら、中国人や韓国人も意外と多かった(言葉やファッションでわかる)。まあ日本に来るくらいだから反日は少ないだろうけどね。で、三の丸尚蔵館。昭和天皇の崩御後、国に寄贈された御物の保存・研究を目的に建てられたもので、当初は一般公開するつもりがなかったらしく(美術館などへの貸し出しを考えていた)、収蔵庫(約1000平方メートル)に対して展示室(約160平方メートル)は異様に小さい。だからひとつのテーマで展示するときも2、3回に分けることが多い。今回も3期に分けたうちの後期の展示。タイトルどおり、近世の名所絵から山水画、真景図、近代以降の風景画まで、風景画の変遷をたどっている。出品は江戸期の雲谷派による《唐土名勝図屏風》、明治期の石油の産出現場を描いた児玉果亭の《石脳油産地之真景》、山本森之助による印象派風の油絵《夾竹桃》、丸山晩霞の美しい水彩画《犀川の秋》など、珍しい絵ばかり計12点。数も少ないし、入場無料だし、みんな気楽に見ている。

2017/06/24(土)(村田真)

生の体験から知る 沖縄の戦争展

会期:2017/06/23~2017/06/25

浅草公会堂[東京都]

6月23日は沖縄戦の犠牲者たちを悼む「慰霊の日」。その象徴的な日に始められた本展は、戦争体験者の証言を写真とパネルによって伝えたもの。あわせて砲弾の破片や水筒、軍靴などの実物も展示された。
いま「展示」と書いたが、この言い方はもしかしたら本展にはそぐわないのかもしれない。というのも、本展の醍醐味は戦争の写真を「見る」ことや戦争体験者の証言を「読む」ことだけでなく、彼らの語りを「聴く」ことにもあるからだ。会場には、3つの壁面に写真とパネルが展示されていたが、真ん中の空間には椅子と机が並べられ、戦争体験者の話を直接聴くことができる「茶話会」が催された。したがって来場者は彼らの肉声を耳にしながら写真とパネルに記された沖縄戦の実態を目にすることになる。それは、展示物とのあいだに一定の距離を保ちながら吟味の視線を走らせる、通常の鑑賞法とは著しく異なる経験である。

会場で来場者に向けて証言したのは、おおむね4人。彼らがめいめい同時に発話するため、現場にはそれぞれの言葉が渦を巻きながら大きなうねりを生んでいるように感じられた。来場者は、彼らが編み出す言説空間に有無を言わさず巻き込まれると言ってもよい。そのある種の暴力性は、沖縄戦の実態を、とりわけそれに無知な現在の東京で暮らす人々に伝承するためには必要不可欠な知恵と技術なのだろう。だが、それ以上に痛感したのは、そのように視覚と聴覚を融合させながら来場者を包摂する手法そのものが、きわめて芸術的であるように感じられた点である。
「美術」が視覚を特権化する一方、「見世物」にあった聴覚や味覚などを切り捨ててきた経緯を思えば、本展に見られた芸術性は前近代への回帰志向として位置づけられるのかもしれない。あるいは、沖縄戦という大きな文脈は共有しつつも、複数の語り手がそれぞれの物語を自立的に語るという点では、広い意味で演劇的であるようにも見えた。むろん沖縄戦という厳然たる事実と、それを現在に言い伝える伝承は、本来的には別次元で考えなければならない。だが、歴史が現在によって語られることで浮上する物語だとすれば、そして戦争体験者が語ることができない時代がいずれ到来することが疑いないとすれば、今後重要になるのは歴史を召喚する芸術的な形式なのではないか。本展は、そのためのひとつの手がかりを示したように思う。

2017/06/23(金)(福住廉)

プレビュー:誕生40周年 こえだちゃんの世界展

会期:2017/07/08~2017/09/03

八王子市夢美術館[東京都]

「こえだちゃんと木のおうち」は、1977年に玩具メーカーのタカラ(現 タカラトミー)が発売したミニドールつきのハウス玩具。二頭身のファンシーなキャラクター、木の形をしてワンタッチで開閉するハウスや幹の中のエレベーターなどの仕掛けが楽しい玩具と同時に、その世界は絵本や文具などにも展開されてきた。その誕生40周年を記念して八王子市夢美術館で初の展覧会が開催される。タカラからはすでに1967年に「リカちゃん」が発売されているが、「こえだちゃん」は「リカちゃん」のリアルに近い世界観とは異なり、同時期に誕生した「ハローキティ」などのファンシーなキャラクター、メルヘン溢れる世界観が特徴だ。いくどかのリニューアルを経て現在でも売られており、親子二代にわたって親しまれているという。展覧会では、1977年に誕生した初代から2016年の8代目までの玩具と、イラストレーター桜井勇氏によるイラスト原画が展示されるほか、最新の「こえだちゃん」に触れることができるプレイスペースも設けられるとのことだ。[新川徳彦]

2017/06/20(火)(SYNK)

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