2018年12月01日号
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artscapeレビュー

2013年02月15日号のレビュー/プレビュー

絵画、それを愛と呼ぶことにしよう Vol.8 田中功起

会期:2013/01/19~2013/02/02

ギャラリーαM[東京都]

絵画を巡る10組の連続展の8回め。ほかの作家たちは会期が1カ月前後あるのに、田中だけは2週間と短い。本人の都合によるものだろうけど、すでに差異化が図られている。案内状にはその2週間のスケジュールが載っていて、たとえば「ペインティング・トゥ・ザ・パブリック(東近美からαM)」「写生旅行」「持ち寄った絵について話す」といった予定が書かれ、最後に「会期中、会場を訪れるすべてのひとは自分が持って来たほとんどの絵を他のひとと共に展示することができます」と締めくくられている。つまり会場には田中功起の作品だけでなく、さまざまな人たちの持ち寄った絵が飾られてるらしいのだ。アンデパンダン個展とでもいうか。ちなみに「ペインティング・トゥ・ザ・パブリック…」とは、東京国立近代美術館からギャラリーαMまでみんなで絵を持って歩くという参加型のイベント。幸田千依の「歩く絵のパレード」と同じではないか。ま、絵を持って歩くだけならだれでも考えつくことだけどね。会場には少し空きがあるものの思ったよりたくさんの絵が並んでいた。まともに自分の作品を持ってきた人のほか、祖父の絵、なぜか長新太の絵、会田誠展のチラシにチョコッと書いたイタズラ書き、それに田中自身の10代のころの絵まであって、けっこう楽しめた。会田誠で思い出したが、もっとカゲキで、不謹慎で、えげつない絵もあるかと予想(期待)していたけどあまりなかったのは、展示するのが持って来た「すべての絵」ではなく「ほとんどの絵」と限定されていたせいか。展示を拒否された絵があったとしたら見てみたいもんだ。いずれにせよ、「絵画」への愛にあふれたメタ個展だった。

2012/01/23(水)(村田真)

ALA Ploject No.16 猪狩雅則

会期:2013/01/16~2013/02/17

アートラボあいち[愛知県]

今年2度目の名古屋。愛知芸文センターでの「アーツ・チャレンジ」に参加する前にあれこれ寄ってみた。まずアートラボあいちの1階では、100号大のペインティングがドーンと2点。ちょっとトボケていて捨てがたいセンスを感じるけど、第一印象は「いまどきありがち」な絵。ありがちな絵だから親しみやすく入りやすいともいえるが、なんだまたか、もっと見たことないような絵を見たかったとも思う。

2012/01/26(土)(村田真)

日韓交流展「Histrorical Parade; Images From Elsewhere」

会期:2013/01/09~2013/02/03

アートラボあいち[愛知県]

2階と地下の2フロアを使って日韓11作家の展示。それなりにキャリアを積んだ作家が多いせいか、チャラい作品は少なく、現実と真摯に向き合う姿勢が目についた。たとえばノ・スンテクはいわゆる光州事件を、高橋伸行はハンセン病をテーマにするなど社会問題に対する意識の高さがうかがえる。また、イ・ウォノはテニスコートやサッカーコートの白線をモチーフにすることで、おそらく韓国にとってもっとも切実な境界線(ボーダーライン)の問題を浮かび上がらせる。しかし日韓関係にまで踏み込む作品は少なかった。例外は、藤木正則の《日が昇る海/日が沈む海》という映像インスタレーション。これは日本側からと韓国側から撮影した海の映像を併置したもので、見た目に同じものでも見る角度や立場によってまったく正反対にとらえられることを示している。もう一歩進めて《日本海/東海》とか《竹島/独島》といった作品をつくって議論ができたら、日韓交流も別のステージに進めるかもしれない(し決裂するかもしれない)。

2012/01/26(土)(村田真)

長者町アートアニュアル2012展

会期:2013/01/23~2013/02/03

アートラボあいち[愛知県]

「アートアニュアル」というからこの界隈を拠点とする若いアーティストたちの選抜展かと思ったら、ブブーッ! 大ハズレ。「長者町アートアニュアル」とは展覧会名ではなく、あいちトリエンナーレを機に発足した毎年継続して活動していく組織体の名称なのだ。だから同展も作品展ではなく、KOSUGE1-16による「長者町山車プロジェクト」を中心とする活動報告展だった。それも重要だけどね。

2012/01/26(土)(村田真)

植松ゆりか「Revival」

会期:2013/01/25~2013/02/03

スペースプリズム[愛知県]

植松ゆりかは名古屋造形大在籍中の一昨年、「アーツ・チャレンジ2011」に出品した今年23歳のアーティスト。われわれが選んだ若い作家の新作発表を見るのはうれしいことだ。今回もそのときと同じく、クマやネコやパンダのぬいぐるみをキューブ状に固めてスツールにした作品を出している。ファイルを見ると、ぬいぐるみの腹を割いて中身を取り出し、内側にシリコンを塗って固めたらしい。この方法なら生身の動物にも人間にも応用できそうだが、もちろん植松さんはそんなことしない(と思う)。そういえば昔アレン・ジョーンズだったか、半裸の女性があられもない格好で椅子にさせられてる彫刻があったなあ。いまだったら会田誠以上にたたかれるだろうと思ってネットで調べてみたら、60年代当時もフェミニストらに嵐のような抗議を浴びせられたらしいが、なんとその作品が3億2000万円で落札されたそうだ。閑話休題。植松さんはほかにも、小さな額縁内に収めた平面状のネズミ(フラットラット?)や、ふとん代わりにとぐろを巻く大蛇を敷いたベッドも出品。これにはあまり寝たくないなあ。

2012/01/26(土)(村田真)

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