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2014年06月15日号のレビュー/プレビュー

東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「窓学”WINDOWSCAPE”展 ~窓の研究プロセスからミラノサローネまで~」

会期:2014/05/31~2014/06/15

東京ミッドタウン・デザインハブ[東京都]

東京ミッドタウンのデザインハブ特別展「窓学“WINDOWSCAPE”展~窓の研究プロセスからミラノサローネまで~」のオープニングだった。展示では、東工大の塚本研が、世界各地の窓を実測した資料に、現地での旅の楽しさを伝えるコンテンツをおりまぜ、加えて今年のミラノサローネにおいて中庭に挿入した窓のカレイドスコープのインスタレーションを紹介する。また2007年から始めた窓学についてのトークも行なう。

2014/05/30(金)(五十嵐太郎)

TAKEO PAPER SHOW 2014「SUBTLE」

会期:2014/05/25~2014/06/01

TOLOT/heuristic SHINONOME(トロット/ヒューリスティック東雲)[東京都]

竹尾のペーパーショウ2014を訪れた。テーマが「SUBTLE」だけに、石上純也と中村竜治の、テーブル上の小さな敷地において、紙という物質から可能な建築的なアイデアを追求した両作品が狂気じみてすさまじい。デザイナーやアーティストとは違う、建築家ならではのアプローチである。ほかに三澤遥の紙の花や、トラフのひとつながりの糸もセンスが良かった。ところで、会場の入口に設置されたガラスのインスタレーションが、ゲルハルト・リヒターぽいものだった。しかし、どこにもキャプションはなく、来場者もほとんどそれに気をとめず、お目当ての紙の展示へとまっすぐ向かう。が、警備員と話したら、やはりリヒターだった。この会場で一番高いものではないか。

2014/05/31(土)(五十嵐太郎)

乾久美子+東京藝術大学乾久美子研究室──小さな風景からの学び

会期:2014/04/18~2014/06/21

TOTOギャラリー・間[東京都]

ギャラリー間の乾久美子+東京藝大乾研究室展「小さな風景からの学び」へ。およそ1年かけて学生たちと撮影した膨大な数の街の写真を分類しながら、ささやかな風景への思考を積み重ねていく。いわゆる有名建築の紹介でもなく、彼女の個展でもない。ギャラリー間としては、これまでにないタイプの展覧会だ。ちょうど、せんだいスクールオブデザインのメディア軸でやろうとしている新しい建築系ガイドのイメージにも近い。

2014/05/31(土)(五十嵐太郎)

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あそびのつくりかた

会期:2014/03/01~2014/06/01

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館[香川県]


実際に乗ったり触ったり、体験できることで子どもに人気の他作家の作品が並ぶ中、梅田哲也作品は、光と扇風機、ポリ袋、チューブといった梅田作品にはおなじみの日常品のセレクトで構成されていた。美術館は天井までは高さがあるのだが、天井のところにも作品のパーツが配置されており、細い管や棒、小さな明かりなど、他の作家の作品が大きくてわかりやすいタイプの作品と比べると、やや地味目。しかし、じっくり耳を澄ませると、細かい動きや音、光が動き出す、装置自体に小動物のようななんともいえない味があった。じっと子どもが注目してくれるのを待っているような、体験ではなくそれ自体を楽しむような通好みの構造。これを楽しめる子どもは、どれだけいたんだろうなー。

2014/05/31(土)(松永大地)

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新INCUBATION #6 堀尾貞治 冬木遼太郎「Making Sense of Nonsense」

会期:2014/05/17~2014/06/29

京都芸術センター[京都府]


冬木作品における突拍子もない感じは、飛躍に次ぐ飛躍でこちらの感覚をぐんぐん刺激してくる。見る側が無数の物語を生産してしまって、情報の渦につつまれるような状態になる。これが足し算だとすると、堀尾作品は一見同じように足し算のようでもあるが、実はそもそも構造はひとつであり、足し算でも引き算でもない、プラスマイナスゼロ。今回も黒色でフレーミングするという作品一本勝負(展示する壁面の並びはダーツで決めたという)。小さなポストカードを囲み、壁一面を囲み、展覧会自体をも覆い、冬木作品の渦もまあまあ飲み込んでいる、と思いながら、南と北、距離的にも離れているそれぞれのギャラリーを何度か往復するうちに、なんだか作品と作品が会話しているようにも見えてきた。この二人展の組み合わせはすごくいい。

2014/06/01(日)(松永大地)

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