キュレーターズノート
バックナンバー
杉戸洋 展「天上の下地 prime and foundation」
[2015年06月01日号(能勢陽子)]
杉戸洋の展覧会は、並んだり向き合ったりする大小の絵画同士の色と形態が呼応しあい、絵画をはみ出して、全体的に豊かな空間をつくり出す。杉戸は画家だけれど、いわゆるインスタレーションとも違うかたちで、空間に色彩と構成を与えて、そこを軽やかな余白...
「Atsuko Nakamura:意識と無意識の境界」/金沢発信アウトサイダー・アート展×垣内光司/「われらの時代」
[2015年05月15日号(鷲田めるろ)]
『太陽がいっぱい』はこれまでに観たなかで一番怖い映画だ。古典なのでネタバレも許していただくとして、ヨットが陸に引き上げられるラストシーンは鮮明に記憶に残っている。ドックに引き上げられるヨットのスクリューにロープが絡まり、そのロープの先には...
「鈴木理策写真展──意識の流れ」「刺繍をまなぶ展」「具体の画家──正延正俊」
福岡市美術館リニューアル事業/「成田亨 美術/特撮/怪獣」/「古川吉重 1921-2008」
「伊東宣明《アート》」「てくてく現代美術世界一周」「京都市立芸術大学作品展」
[2015年04月15日号(中井康之)]
しばらく前に本レポートで取り上げた伊東宣明が2月から4月にかけて愛知県美術館の常設展示室に設けられているプロジェクト型のイベントスペースで新作《アート》を発表していた。そのレポートでかつて紹介した作品は《芸術家》というタイトルで、一人の女...
「高齢社会における博物館の役割を考える」「高齢者とアートのしあわせな出会いセミナー」
[2015年04月15日号(坂本顕子)]
高齢化社会とアート、そしてミュージアム。気になるテーマのシンポジウムが相次いで九州で開催され、足を運んできた。そのひとつは、レスター大学のジョスリン・ドッド博士を招いた、九州産業大学主催の「高齢社会における博物館の役割を考える──英国・レ...
「繋ぐ術 田中忠三郎が伝える精神」/「成田亨 美術/特撮/怪獣」
[2015年04月01日号(工藤健志)]
ある事柄、ある物、ある人に対する「評価」はけっして普遍的なものではない。それは時代とともに変化し、切り取る角度によってまた違った評価を生む。至極当たり前のことである。それは「価値観」と言い換えることもでき、ほんらい各人の思考のなかにそれぞ...
メルド彫刻の先へ[彫刻と記録]/「Art Meets 02 大西伸明/相川勝」/「小泉明郎:捕われた声は静寂の夢を見る」
[2015年04月01日号(住友文彦)]
アーティストは作品をつくるだけでなく、見る者の体験もつくる。学芸員は展覧会づくりを通して、作品が時間や空間に関わることにつねに意識を向けているはずだが、アーティストがつくる時間と空間の体験から、美術館における鑑賞体験を振り返ることも少なく...
ヒロセコレクション 14:グループ展
[2015年03月15日号(角奈緒子)]
広島市現代美術館にて2015年3月8日まで開催していた「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」展にあわせて、広島市内のコレクターを訪問するというプログラムを企画した。広島在住のコレクターといえば、『芸術新潮』(2015年3月号)でも...