artscapeレビュー
川端健太郎展
2015年11月01日号
会期:2015/09/26~2015/10/18
ギャラリー器館[京都府]
二つの展示室から成る本展では、フロアごとに異なる系統の作品が見られた。ひとつは青を基調とした瓶あるいは壺で、優雅な曲線を描く有機的なフォルムと、掛け流した多色の釉薬が見せる抽象絵画のような表情が美しい。もうひとつは茶碗を中心とした器類だ。細かな皺や襞を持ち、まるで牡蠣やアコヤガイなどの海洋生物を思わせるフォルムをまとった茶碗の魅力が傑出していた。どちらの作品も過剰なまでに成長した装飾が見所だが、それらが単なる加飾やナルシシズムに陥るのではなく、原初的内発性と高い技術が融合した高度な領域に達しているのが川端作品の魅力だ。陶芸愛好家に独占させておくのはもったいない。現代美術ファンも彼の仕事に注目すべきだ。
2015/10/13(火)(小吹隆文)