artscapeレビュー
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2016 Circle of Life|いのちの環
2016年06月01日号
会期:2016/04/23~2016/05/22
京都市内の15会場[京都府]
2013年に始まり、今年で4回目となる「KYOTOGRAPHIE」。2016年のテーマは「Circle of Life|いのちの環」で、プランクトンの姿を捉えた写真と高谷史郎・坂本龍一とのコラボレーションを発表したクリスチャン・サルデ(京都市美術館別館)、人工授精で生まれた赤ん坊を生後1時間以内に撮影したティエリー・ブエット(堀川御池ギャラリー)など、例年通り質の高い展示が並んだ。とりわけ印象深かったのは、マグナム・フォトによる第2次大戦以降の難民の写真を編集した展示「マグナム・フォト/EXILE─居場所を失った人々の記録」(無名舎)と、原爆、三里塚闘争、全共闘、自衛隊など日本の戦後を問い続けた福島菊次郎の個展「WILL:意志、遺言、そして未来」(堀川御池ギャラリーと立命館大学国際平和ミュージアム)ではなかったか。その背景に、ヨーロッパに殺到する難民やパリでのテロ事件など、昨今の国際情勢を想像するのは難くなく、この二つの展覧会の存在が今年の「KYOTOGRAPHIE」を特徴付けたと言って過言ではないだろう。個人的には、自身の裸体と森や湖などの自然を融合させたアルノ・ラファエル・ミンキネン(両足院/建仁寺内)が最も印象深く、コンデナスト社のファッション写真展(京都市美術館別館)、サラ・ムーンの個展(ギャラリー素形と招喜庵/重森三玲旧宅主屋部、アソシエイテッド・プログラムとして何必館・京都現代美術館でも個展を開催)も見事だった。
2016/04/22(金)(小吹隆文)