artscapeレビュー
ルーベン・サルガド・エスクデロ写真展 SOLAR PORTRAITS
2016年06月01日号
会期:2016/05/07~2016/06/26
Gallery TANTO TEMPO[兵庫県]
スペイン出身で、10代をアメリカで過ごし、ベルリンでビデオゲーム会社の3Dゲーム開発に携わった後、仕事を辞めてドキュメンタリー写真家になったルーベン・サルガド・エスクデロ。彼は東南アジアやアフリカの発展途上国に赴き、ソーラーパネルで電力供給を行なうプロジェクトに携わっている。本展の作品は、人々が電力の恩恵にあずかった瞬間を撮影したものだ。といっても作品はスナップ写真ではない。計算された構図と配置による肖像あるいは群像写真であり、電力がもたらした照明のハイライトもあって、崇高かつドラマチックな仕上がりになっている。このプロジェクトは『ナショナルジオグラフィック』誌で取り上げられたほか、2015年の「ソニー・ワールド・フォトグラフィ・アワード」でもポートレイト賞を受賞しているとのこと。今回の個展がなければ、私は彼の存在を知ることはなかっただろう。機会を与えてくれた画廊に感謝するとともに、美術館やアートセンターでも彼の個展が行なえないものかとも思った。
2016/05/15(日)(小吹隆文)