artscapeレビュー
近代大阪職人図鑑 ものづくりのものがたり
2016年06月01日号
会期:2016/04/29~2016/06/20
大阪歴史博物館[大阪府]
さまざまな色を発する金属の組み合わせと彫金技術で、花や虫を生き生きと表現した村上盛之、一般的に金属でつくられる自在置物(関節が自在に動く動物や昆虫などの置物)を木でつくった穐山竹林斎、刀工の月山貞一、漆芸の三好木屑(弥次兵衛)、木彫の山本杏園など、明治維新後の大阪で活躍した職人(アルチザン)たちを、約170件の作品で紹介した展覧会。彼らは優れた技量を持つ職人だったが、活動拠点が東京や京都ではなかったために資料が少なく、埋もれた存在になっていた。そんな“栄光なき天才たち”に再評価の機会を与えたのが本展である。大阪歴史博物館が開館して15年、前身の大阪市立博物館から数えると55年、学芸員たちが地道に積み上げてきた研究成果が花開いた瞬間であり、10年後、20年後も伝説の展覧会として語り継がれるのではなかろうか。素晴らしいものを見せてもらった。
2016/04/28(木)(小吹隆文)
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