artscapeレビュー

拡がる彫刻 熱き男たちによるドローイング 植松奎二 JUN TAMBA 榎忠

2017年09月01日号

会期:2017/07/04~2017/09/28

bbプラザ美術館[兵庫県]

「彫刻とドローイング」をテーマに、現代美術家の3人植松奎二、JUN TAMBA、榎忠の作品と空間展示を月替わりで紹介する展覧会。現在、デュッセルドルフと日本にアトリエを構え活動する植松奎二の展示は、最新作のインスタレーション《見えない軸─水平・垂直・傾, Invisible axis Horizontal, Vertical, Inclination》を会場の中央に設置、四方を1969年から2017年までのドローイング作品群で囲むように構成した。《見えない軸》は、中央に据えられた石とさまざまな角度で傾く金属の柱(真鍮)とワイヤーを用いて、本来は不可視の「重力」を、事物のあいだに看取される関係性を通して表わそうとする。また、2×4メートルを超える大きさのドローイング《浮く石, Floating stone》は、同館で公開制作されたもの。タイトルが示す通り「巨大な石が宙に浮かぶさま」の描写は、現実にはありえない奇想の空間を創出する。このような、普段私たちが知覚することのない「重力」についての気づきは、ひいては、宇宙/地球/人間の存在に関わって「大事な見えないものとは何か」を考えることにもつながってゆくだろう。植松の作品は、世界の構造への普遍的な問いから鑑賞者個人の内面に至るまで、多様なレヴェルの気づきを与えてくれる。[竹内有子]

2017/07/30(日)(SYNK)

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