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畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華

2017年09月01日号

会期:2017/08/08~2017/09/24

渋谷区立松濤美術館[東京都]

日本画家・畠中光享氏が長年にわたって蒐集してきたインド美術コレクションから、インドの染織品を紹介する展覧会。2013年に三鷹市美術ギャラリーほかで開催された展覧会「畠中光享コレクション 華麗なるインド」(三鷹市美術ギャラリー、2013/04/13~06/23)では、コレクションの中心をなすミニアチュール(細密画)と染織品がともに展示されたが、本展は染織の展示に特化している。特に地下展示室が印象的だ。高い天井から透けるように薄いターバンの生地がさがり、空調の風で揺れている。壁面には広げられた大きな布が並ぶ。古い布なので自らの重みで裂けたりしないか心配になるが、「破れたら直せばいい」そうだ(本当に状態の悪い古布は展示から除外されているそうなのでそこまでの心配はない)。インドの染織といえば更紗=手描きや木版による捺染綿布が思い浮かぶが、それ以外にも印金、印銀、銅版捺染、絞、織、刺繍など多様な技法が用いられていたことを展示から知ることができる。染色が難しい木綿布を、赤、黄、青など鮮やかな色彩で染めたインドの染織品は古くから世界の人々を魅了してきた。17世紀以降、これらインドの染織品はヨーロッパに輸出されて人気を博し、そのことがヨーロッパでの綿織物製造を刺激し、イギリスにおける織布、紡績の機械化、そして産業革命を誘発したことはよく知られていよう。インドの染織品の影響は素材としての綿布の特徴(ヨーロッパの羊毛製品に比較して薄く、軽く、洗濯が容易だった)とともに、その文様の美しさにもあり、各地で模倣品がつくられた。カシミール地方のショールの模倣品がスコットランドの都市ペイズリーで製造されたために、その文様自体がペイズリーと呼ばれるようになった。生産効率を上げるためにイギリスでは銅版印刷の技法を応用した捺染技術が導入されたが、インドでは銅版捺染のことをそのイギリスの綿業地域にちなんで「マンチェスター」と呼んでいるそうだ。展示品にはこれらヨーロッパ製品も含まれているので、キャプションには注意して見たい。[新川徳彦]

会場風景

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2017/08/07(月)(SYNK)

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