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清里フォトアートミュージアム収蔵作品展 原点を、永遠に。─2018─

2018年05月15日号

会期:2018/03/24~2018/05/13

東京都写真美術館[東京都]

1995年に山梨県清里に開館した清里フォトアートミュージアム(K★MoPA )は、これまでさまざまな活動を展開してきたが、特に35歳以下の若手写真家たちを対象に、公募で写真作品を収集する「ヤング・ポートフォリオ」は注目すべき企画である。今回の「収蔵作品展」では、海外および日本の著名な写真家たち66人が、35歳以前に撮影した作品に加えて、「ヤング・ポートフォリオ」のなかから29人の作品が選ばれて展示されていた。

全部で95人、409点という大規模展は、前期と後期に分けられている。前期の「歴史篇」は「1886~2016年の作品を撮影年代順に展示」したものだが、後期の「作家篇」は「作家名をほぼアルファベット順に展示」するという、よりラジカルな構成になっていた。つまり、展示の最初のパートで言えば、ベレニス・アボット、アンセル・アダムス、マヌエル・アルバレス・ブラボ、G.M.B.アカシュ、荒木経惟、有元伸也という具合に作品が並ぶ。このような、時代も、出身国も、作風もまったくバラバラな作品を、ごった煮状態で見せることは、一見混乱を招くように思える。だが、実際に展示を見ると、逆に隣り合った写真が乱反射して目に飛び込んでくることが、スリリングで刺激的な視覚的経験を呼び起こすことにつながっていた。

こうしてみると「ヤング・ポートフォリオ」にはじつに多彩な作品が選ばれていて、それ自体が現代写真のショーウィンドーとしての役割を果たしていることがわかる。ポーランド、ギリシャ、ロシア、中国、韓国、バングラデシュなど、写真家たちの国籍を見ているだけでも、多様な表現が花開いている。日本の写真家に限っても、本城直季、北野謙、亀山亮、林典子、東京るまん℃、下薗詠子など、次世代の写真家たちを育てるのに、大きな役目を果たしてきた。「35歳以下」という応募条件が、これから先も有効性を持つかどうかはやや疑問だが、続けていってほしい企画である。

2018/04/22(日)(飯沢耕太郎)

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