artscapeレビュー

小吹隆文のレビュー/プレビュー

小橋陽介 展

会期:12月8日~12月20日

Gallery Den[大阪府]

夏に奈良から東京に引っ越した小橋。環境の変化が作品にどんな影響を与えたのか興味を持って出かけたのだが、いやはや、ますます妄想度がアップしているじゃないか。もともとカラフルな色使いが持ち味だが、その傾向が一層顕著になり、ラフなタッチもギリギリで粗雑に陥っていない。どうやらいい感じで新生活を送れているようだ。今後もこの調子で飛ばしてほしい。

2008/12/08(月)(小吹隆文)

touch droog

会期:12月6日~12月28日

PANTALOON[大阪府]

85個の裸電球からなるシャンデリアや、大量の古着を縛って造形したソファーなどで知られるオランダのdroog designを紹介。既製品のアレンジと廃材のリサイクルに特徴がある彼らの仕事は、それ自体がデザイン批評とも言える。合理的でありながら、思わずニンマリするユーモアとウイットに富んでいるのも素晴らしい。また、特定のデザイナー集団ではなく、企業であり、運動体であり、デザイン言語でもあるという彼らの在り方自体にも興味をそそられた。

2008/12/07(日)(小吹隆文)

新国誠一の《具体詩》 詩と美術のあいだに

会期:12月6日~3月22日

国立国際美術館[大阪府]

詩については無知なので、新国誠一のことも全然知らなかった。視覚詩や音声詩といった前衛的な作風で知られる彼の世界は、まるで文学と音楽と美術の中間点に位置するかのよう。前衛芸術華やかな時代のスピリットが、今も生々しく息づいている。それにしても、あまりに渋すぎる、この企画。詩人でもある建畠晢館長がいなければ、決し
て実現しなかっただろう。

2008/12/06(土)(小吹隆文)

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秦まりの展 LOVE トカゲ男とその愛の話

会期:12月1日~12月6日

番画廊[大阪府]

恋人を亡くしたショックで半分トカゲになった男性が、愛の真理を求めて中南米に旅立つが……、という自作の物語によるカラフルな版画作品。表面に塗られたラメ(化粧品から流用)の効果で表面がキラキラしているが、ケバさよりも生命力を感じさせるのが彼女の長所だ。ぬいぐるみ状のソフトスカルプチュアもいい味を出していた。初個展なのに臆せず、伸び伸びと力を出し切っており、見ていて気持ちが良かった。

2008/12/01(月)(小吹隆文)

松井沙都子 展 クロージング

会期:12月1日~12月20日

Gallery Den 58[大阪府]

細い線と薄い色彩で描かれた絵画作品。複数のイメージが複雑に接続されているため、いくら見つめてもイメージの整合性がとれない。追えば追うほど袋小路にはまり込むような、悶々とした感情が蓄積されていく。ほのかに隠微な香りが漂うのも刺激的だ。まるで百戦錬磨の異性に翻弄されるような、甘美と怖れが入り混じった気分。平日午後の画廊でこんな気持ちになるとは、思いもよらなかった。

2008/12/01(月)(小吹隆文)