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小吹隆文のレビュー/プレビュー

山下清 展 放浪の軌跡

会期:1/10~2/22

伊丹市立美術館・伊丹市立工芸センター[兵庫県]

山下清の展覧会は珍しいが、大混雑している伊丹市立美術館もまた珍しい。テレビ番組の影響力に改めて感心する。私自身、彼の作品を見るのは初めてだが、貼り絵の中でも戦後の作品は確かに質が高い。また、鉛筆画とペン画もたいへん魅力的だ。昭和12、13年頃の作品に戦場や軍隊を描いたものがあることにも驚かされた。出品数が多く、愛用品や衣服、リュックサックなど資料類も充実しておりサービス満点。普段は美術館に来ない「裸の大将」ファンも十分満足したのでは。

2009/01/11(日)(小吹隆文)

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The Den-en Dream MOTOKO+井上英樹

会期:1/9~2/1

shin-bi[京都府]

写真家のMOTOKOと編集者の井上英樹が滋賀の農村を取材して、写真とテキストによる展覧会を開催。どちらの仕事も丁寧で、土地に根差して生きる人々への共感が滲み出ていた。長文を読みつつ写真も見るのは少々骨が折れたが、やはり両方に目を通した方が圧倒的に説得力がある。展示室ではPCのスライドショーでも写真が展示されていたが、ここにテキストを組み込む手もあったんじゃないかな、とも思った。

2009/01/10(土)(小吹隆文)

ベ・サンスン展 関係の形 ‘結び目’

会期:1/10~31

イムラアートギャラリー[京都府]

新作と、ここ1、2年の近作9点を出品。彼女の作品は、白いキャンバスに木炭をすり込むようにして描いたものと、黒いベルベットに細筆で白い線を無数に描いたものが対をなしている。前者は確信に満ちた強い存在感を放ち、後者は深遠な中にも柔らかな気配を感じさせるのが特徴だ。白地に黒線の作品では「結び目」がモチーフになっている。これは人間同士の関係性を示しているのだが、彼女が一児の母になったことで、より説得力が増したように感じられた。

2009/01/10(土)(小吹隆文)

ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展

会期:1/6~3/29

兵庫県立美術館[兵庫県]

静物画展といいつつも、静物画的な要素を含む風俗画や肖像画も含めて紹介されていた。この手の作品は絵解きになっていることが多く、モチーフの意味を理解している方がより楽しめる。でも、日本にそんな知識を持つ人がどれぐらいいるのだろう。もちろん私も詳しくないので、寓意よりもテクニックに注目することが多かった。ギョッとしたのは市場の様子を描いた幾つかの作品。解体された牛がドーンと描かれている。ダミアン・ハーストの作品も案外ルーツはこの辺なのかも。そういえば高橋由一の新巻鮭に似た絵もあった。新年早々変な所ばかりに目が行く。困ったものだ。

2009/01/06(火)(小吹隆文)

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本郷仁 展

会期:11月29日~12月27日

CAS[大阪府]

会場には3点の作品。ミラーボールのように吊るされたオブジェは凹面と凸面に六角形の鏡を敷き詰めたもの。壁面の作品は三角形の鏡をピラミッド状(四角錐)に配して規則正しく並べられている。もう1点は映像で、観客の姿がランダムに9分割されて映し出される。鏡の作品の前に立つと、自分の姿が千変万化に写り込み、ちょっとした異次元感覚。光学的現象にすぎないと言われればそれまでだが、思わぬ自分の姿を見せられたようでドキッとさせられる。

2008/12/18(木)(小吹隆文)