artscapeレビュー
artscape編集部のレビュー/プレビュー
カタログ&ブックス│2009年10月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
マーティン・クリード
2009年5月23日から7月20日まで広島市現代美術館で行なわれた「マーティン・グリード」展カタログ。ターナー賞を受賞した際に展示された作品《作品番号227:ライトが点いたり消えたり》や今回の国際巡回展のために作曲された《作品番号955》など、マーティン・クリードのさまざまなメディアを使った表現を掲載。
shelter×survival
2008年2月16日から4月13日まで広島市現代美術館で行なわれた「シェルター×サバイバル」展カタログ。国籍やジャンルの違うデザイナーやアーティストたちが「シェルター」「サバイバル」というキーワードを通してもうひとつの家、生き方を表現する。カタログ自体も作品によって紙を変えるなど、不揃いのデザインとなっており、作品とカタログが融合したような一冊。
透明ランナーは走りつづける
2009年8月1日から9月27日まで広島市現代美術館で行なわれた小沢剛「透明ランナーは走りつづける」展のカタログ。展示された初期の作品から新作までを掲載。その他、食材を用いて銃を作成したのち、それを料理し、その土地の人々と食す「ベジタブル・ウェポン」シリーズの料理ブックや、作者と関係を築いてきた人々の質問に答えるなど、作品以外のページ充実。
アトリエ・ワン 空間の響き
1992年の設立以来、建築はもとより、都市リサーチ、フィールド・ワーク、ワークショップ、展覧会、教育などのさまざまな場面で創造の手法を展開してきたアトリエ・ワン。かれらはそうした横断的取り組みによって豊かなヴォキャブラリーと思考を紡ぎ出し、建築・都市を捉え、実践するためのフレームを培ってきた。本書では、そのようなフレームの根底にある思考やそこから生まれる仮説を拾い集める。いきいきとした空間をつくりあげるための、アトリエ・ワンの思考のスクラップ・ブック。[INAX出版サイトより]
20XXの建築原理へ
「建築のちから」は伊東豊雄、山本理顕、藤森照信がそれぞれ1冊ずつ監修を担当する、計3冊のシリーズ。日本建築界のトップランナーである3人が、それぞれが注目する若手建築家と対話すること、架空のプロジェクトをつくることから、建築の問題や状況をあきらかにしながら、この先の可能性を考えていく。シリーズ第2弾となる本書では、伊東豊雄が選んだ若手建築家と構造家、藤本壮介、平田晃久、佐藤淳が、東京都心部の青山病院跡地に、住宅、オフィス、商業等の混在した施設を構想するという架空のプロジェクトを追う。そのプロセスで浮かび上がる都市と建築をめぐる課題に3人はどう答えていくのか。また伊東はそれをどのようにナビゲーションをしてゆくのか。カラー頁で青山病院跡地プロジェクト・プレゼンテーションを展開し、山本理顕、藤森照信も参加した講評会と座談会も収録。若手建築家たちは何を考え、どこへ向かうのか。そして、建築家たちが提案する東京再開発モデルの理想像と、21世紀の新しい建築原理とは。[INAX出版サイトより]
肉体の叛乱──舞踏1968/存在のセミオロジー
2008年7月12日から25日まで慶應義塾大学アート・センターでアート・アーカイブ資料展として行なわれた、土方巽の展覧会カタログ。展示では1968年に行なわれた舞踏公演『土方巽と日本人〜肉体の叛乱』をクローズアップしており、本書には公演に関する資料が収められており、それに沿って肉体の叛乱をめぐる考察や解説を掲載。
2009/10/15(木)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2009年9月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
アイ・ウェイウェイ 何に因って?
2009年7月25日から11月8日まで森美術館で開催の「アイ・ウェイウェイ展──何に因って?」展カタログ。2008年北京オリンピックのシンボルとなった《北京国立競技場》など、最新作を含む約30点の主要作品をはじめ、建築プロジェクト、ニューヨーク在住時代の写真や学芸員による論考など、幅広い活躍を紹介。各作品の制作過程のメイキング写真と解説文も掲載。
北島敬三 1975-1991
2009年8月29日から10月18日まで東京都写真美術館で開催の「北島敬三 1975-1991」展カタログ。コザ、東京、ニューヨーク、東欧、ソ連と1975年から1991年にかけて撮影した約190点の写真を収録。1991年以降ストリート・スナップから離れた北島の過去に撮りためたスナップショットの再提示。
ゑびす大黒──笑顔の神さま
2009年9月5日から11月19日までINAXギャラリー大阪で開催の「ゑびす大黒──笑顔の神さま」展カタログ。脈々と受け継がれてきた身近で親しい神様として、ゑびす様と大黒様の暖かなパワーが感じられる縁起本、招福笑顔が満載の一冊。かつて各家々に祀られていた愛らしい木彫のご神像たちが約100点登場。
Fellow Travelers
クリスチャン・ホルスタッドはアメリカで最も注目されている若手アーティストのひとり。2010年には、地元NYのMOMAでの個展も予定されている。このエディションは、2007年に東京・清澄のギャラリーhiromi yoshii で発表されたインスタレーション作品「BloodBath & Beyond」のために彼が収集した素人写真を、サイズや色、紙質や表面塗工、裏面の記載、周囲の型抜き装飾までをも忠実に複製し、箱におさめたもの。
Crows and Pearls
写真家・森栄喜の東京の少年たちを彼ら自身の部屋で撮影したポートレイトと小説家・小林小路の短篇『夏の底』によるコラボレーション。一見序列のない16枚の写真カードの裏で密かに小説が進行する。16枚の写真カードは内側に小説の英訳が記載されたごく薄い包装紙に包まれ、ステッカーで留められている。写真と小説には直接の意味的なつながりは無いが、カードの束という形式の中で緩やかに結びつき、時間的持続を経ることで、読者は自らの想像上の映画の中で、自由にそれらの関係性を創造する。
2009/09/15(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2009年8月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
パターン、Wiki、XP 時を超えた創造の原則
デザインパターン、Wiki、XP。一見,何の関係もなさそうに思えるこの3つは、実は同じ起源から発生した兄弟です。...アレグザンダー(パターンランゲージの発明者)、ウォード・カニンガム(Wikiの発明者)、ケント・ベック(XPの提唱者)らが織りなす約半世紀の歴史物語をたどりながら、優れた創造を行うための共通原則に迫ります。[技術評論社サイトより]
西沢立衛対談集
建築家の西沢立衛が、次なる建築をめぐり徹底対談。対話者は、原広司、伊東豊雄、藤本壮介、石上純也、妹島和世、長谷川祐子という、建築の最前線で活躍する6名。ここに収録した7つの対話には、世界を相手に建築創造に向き合う彼らだからこそ発せられる言葉にあふれている。さらに本書は、北は青森から南は熊本まで、さまざまな建築作品を舞台に対話を繰り広げてきた西沢立衛の旅の記録でもある。[彰国社サイトより]
藤森照信 21世紀建築魂─はじまりを予兆する、6の対話─
「建築のちから」シリーズでは、伊東豊雄、山本理顕、藤森照信の3人が、建築が直面している問題をとらえ、建築の読み解き方と可能性を探る。シリーズ第一弾は、藤森照信が注目する6組の若手建築家たちと対話を重ねる。建築家たちは今どこにつくる動機を置いているのか。モダニズム建築の“透明で白い箱”からどう逸脱していけるのか。そして、対話のすえに藤森がとらえた21世紀建築のはじまりの予兆とは。巻末に伊東豊雄、山本理顕との鼎談も収録。若手建築家の6作品を写真家・藤塚光政による撮下し写真で掲載。[INAX出版サイトより]
2009/08/17(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2009年7月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
モリスが先導したアーツ・アンド・クラフツ イギリス・アメリカ
汐留ミュージアム、郡山市立美術館にて開催された「アーツ・アンド・クラフツ イギリス・アメリカ」展カタログ。産業革命にともない出現した 機械文明に、強く意義をとなえ、手工業の価値の見直しを求めた19世紀のアーツ・アンド・クラフツ運動。本書では、アーツ・アンド・クラフツ運 動に焦点をあて、この運動の発祥の地、イギリスと、独自の発展を遂げたアメリカの作品約150点を紹介。
FOLK TOYS NIPPON にっぽんの郷土玩具
日本全国から選りすぐった郷土玩具を紹介。郷土玩具のデザインの「面白さ」、不思議な「いい伝え」を一冊に凝縮。日本人ならではの楽しみが盛 りだくさんな一冊となっている。[ビー ・エヌ・エヌ新社サイトより]
静岡の美術Ⅸ 柳澤紀子展─水邊の庭─
2009年5月26日〜7月5日に静岡県立美術館で開催された「柳澤紀子展─水邊の庭─」のカタログ。インスタレーションやミクストメディア、版画作 品など、一貫して「身体」をテーマとした展示作品101点をカラーで掲載。美術評論家、建畠哲との対談も収録。
震災のためにデザインは何が可能か
日本が世界に先駆けて直面している課題(先駆性)であり、世界中で解決が求められている課題(緊急性)である「震災」について、「震災後の避 難生活」に焦点をあて、新しいアプローチ(デザインの力)による課題解決の方策を提言する。[NTT出版サイトより]
七宝──色と細密の世界
光を受けて輝く様が宝石にも例えられる七宝。この技術は古代より世界各地で使われ、日本でも古くから建築や家具、道具類と、様々なものを彩っ てきた。 本書ではその至高の細密と美の世界を、写真と文章でひもといていく。近代日本に花開いた優美の技をじっくりと味わえる一冊となっている。[INAX出版サイトより]
2009/07/15(水)(artscape編集部)
カタログ&ブックス│2009年6月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
「ヴィデオを待ちながら─映像、60年代から今日へ」カタログ
現代美術における映像作品の萌芽期1960-1970年代に焦点をあてた「ヴィデオを待ちながら─映像、60年代から今日へ」展のカタログ。開場に展示されたアメリカ、ヨーロッパ、日本の映像作品51点、全ての解説に加え、ロザリンド・クラウス「ヴィデオ:ナルシシズムの美学」ほか、文献3本の初邦訳を収録。
戦後民主主義と少女漫画
一九七〇年代から現在に至るまで、巨大な潮流をつくってきた少女漫画の歴史を、<純粋少女>をキーワードに読み解く。とくに“二十四年組”を中心に花開いた<少女漫画>の魅力とその高度な達成について──大島弓子の『バナナブレッドのプディング』、萩尾望都の『トーマの心臓』、そして岡崎京子の『ヘルタースケルター』を主な手がかりに──戦後文化論として読み解く。少女漫画のヒロインたちが抱える繊細な“怯え”は、大人の論理が強要する安易な成熟の拒否であり、無意識の抵抗だったのではないか。今日に至るまで連綿と受け継がれてきた“震え”や“怯え”の伝達装置としての<純粋少女>たちに、高度消費社会の諸矛盾を、戦後民主主義の限界を乗りこえる可能性をみる。巻末に「少女漫画の名作一覧」を収録。[PHP研究所サイトより]
ル・コルビュジエー近代建築を広報した男
20世紀最大の建築家と呼ばれる、ル・コルビュジエ。2009年6月現在、フランス政府は各国と連絡を図り、その建築作品の一括世界遺産登録に向け、全精力を注ぐ。その中には日本で唯一の作品、国立西洋美術館も含まれる。フランス建築界でスターダムに上り詰めたル・コルビュジエは、早くも大正期に日本に紹介され、前川國男、丹下健三ら日本を代表する近代建築家に多大な影響を及ぼした。「ドミノ・システム」「近代建築の5原則」「住宅は住むための機会」を標榜、建築同様、熱心に取り組んだメディア戦略で自らを近代化のシンボルとした巨匠。「近代建築を広報した男」ル・コルビュジエの、建築、アート、デザインの創造の軌跡を追う。[本書より]
建築家の原点─大谷幸夫 建築は誰のために
「国立京都国際会館」を筆頭に、人間と建築のかかわりを追求し続ける大谷幸夫。魂を揺さぶる建築のありようを語りつくしたインタビューと、珠玉の論考を収録。
思想地図 vol.3 特集=アーキテクチャ
東浩紀・北田暁大編集による雑誌「思想地図」第三弾。
浅田彰+東浩紀+磯崎新+宇野常寛+濱野智史+宮台真司による巻頭共同討議「アーキテクチャと思想の場所」のほか、藤村龍至、鈴木謙介、安藤馨による論考を掲載。
2009/06/15(月)(artscape編集部)