2017年09月15日号
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artscapeレビュー

山岸俊之展[WHITE BIBLE]コトバをおくる

2017年05月15日号

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会期:2017/04/30~2017/05/07

ギャラリー水・土・木[東京都]

ギャラリーには正方形の桐箱が並び、そのなかに空(雲)の写真と、聖書からの引用を点字と活字で書いた紙が入っている。奥の和室は、畳が取り除かれて江戸期の和書を貼った板が敷きつめられ、その奥の棚にやはり点字訳した童謡20編が置かれている。近年の山岸の関心は聖書と点字にあるようだ。山岸によれば、12年前のクリスマスの日にふと入った教会で、盲目の司祭が点字を読みながら「はじめに、言(ことば)があった」と述べたのがきっかけだったという。以来、聖書と点字を勉強し、五島列島の教会やキリシタンの史跡を巡っているらしい。この日は山岸のトークがあり、以上のようなことを語ったのだが、最後に触れた「五島列島久賀島、牢屋の窄事件」が印象的だった。それは明治元年に約200人のキリシタンが捕まり、わずか6坪の土牢に閉じ込められて多数の死者を出したという悲惨な話なのだが、印象的だったのはその事件ではなく、山岸がその牢屋をたずねたとき、内部は見られなかったものの6坪を示す線を見て想像力を膨らませ、「そういうものをアートと呼びたい」と述べたことだ。実際に見なくても、少ない情報からイメージを膨らませることができるのがアートであり、それが盲目の司祭を通して点字と聖書につながっていったってわけ。なるほど。

2017/04/30(日)(村田真)

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