artscapeレビュー

2015年08月15日号のレビュー/プレビュー

伊藤一洋 no one knows Sculpture

会期:2015/07/10~2015/08/09

hpgrpギャラリートウキョウ[東京都]

サイズもかたちも頭蓋骨か帽子を思わせるブロンズ彫刻が10点ほど。いや頭骸骨や帽子というより、その色と質感は背骨と肋骨を残した生物の遺骸に近いかもしれない。どっちにしろ内部が空洞のシェルター状になってるのが特徴だ。これを「天體」シリーズと呼んでいるのは、内部から見るとシェルターが天蓋に見えるからだろうか。不思議な魅力を持った作品。奥には人体の一部を思わせるブロンズの小品もあって、ちょっとそそられる。

2015/07/31(金)(村田真)

Unknown VOID No.6 町野三佐紀

会期:2015/07/17~2015/08/02

void+[東京都]

エントランス横の小さなギャラリーでの展示がおもしろい。暗闇のなか、婆さんが首を振ってる映像がエンドレスで流れてる。魔女裁判で拷問にかけられる映画のシーンから5秒足らずを拝借し、うーんと引き延ばし、重ね合わせたものらしい。婆さん、苦しそう。オフィスのほうでは顔と波をダブらせた映像や写真の展示。

2015/07/31(金)(村田真)

試写「あえかなる部屋──内藤礼と、光たち」

会期:2015/09~(予定)

内藤礼を追いかけた映画。極度に繊細な(しかし強靭な)アーティストで、顔を出さないのが条件だったというが、途中で撮影を拒否されてしまう。それでも映画として成り立せるため、後半から5人の女性が出てきて豊島美術館を訪れる話になってしまう。いったい主役はだれなんだろう。内藤礼か、5人の女たちか、それとも豊島美術館なのか。主題がなにかを考える映画でもある。

公式ウェブサイト=http://aekanaru-movie.com/


映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』予告編

2015/07/31(金)(村田真)

画廊からの発言 新世代への視点2015

会期:2015/07/20~2015/08/01

ギャルリー東京ユマニテ+ギャラリイK+ギャラリー川船+ギャラリーなつか+藍画廊+ガルリソル+なびす画廊+ギャラリー現+ギャラリーQ+コバヤシ画廊+ギャラリー58[東京都]

炎天下、少し離れた1カ所を除く11画廊を訪問。内訳は絵画が6、彫刻・立体が5というバランス。ギャラリイKの福井拓洋は、床上1メートルほどの高さにフローリングの床をつくり、階段まで設けている。上ってみると頭が天井につきそう。床にはところどころ穴が開いてて、のぞくと真っ暗でなにも見えない。発想としてはありがちだが、よくここまで実現させたもんだ。藍画廊のカナイサワコはガラス瓶をヤスリで削り、穴が開くまで薄くしたものを台座に載せている。瓶は表面を削られたため白っぽく、台座も壁も真っ白なので、一瞬白内障にかかったんじゃないかと勘違いするほど視界が白くなった。コバヤシ画廊の藤浪美世は、チューブから絵具をブリブリッと気前よくひねり出して塗った絵画が気持ちいい。それだけでなく「あなた」に宛てた手紙や道端で撮った写真も展示しているが、作品を見せるのか作者の世界を提示するのかどっちかにしてほしい。

2015/07/31(金)(村田真)

“Dreams” PITS

会期:2015/07/17~2015/08/01

メグミオギタギャラリー[東京都]

天使像やキャンベル・スープ缶の版画に彩色したシリーズ。モチーフもステンシル技法もアイロニーもバンクシーそっくりだが、PITSは名古屋を中心に活動しているストリートアーティストらしい。最近のストリートアーティストやグラフィティライターは、キャンバスに描いたりコマーシャルギャラリーで作品を売ることに抵抗ないんだろうか。ちなみにPITSとはオーケストラピットともいうように、くぼみや落とし穴、地獄といった意味の複数形。

2015/07/31(金)(村田真)

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