artscapeレビュー

WHITE 桑山忠明 大阪プロジェクト

2011年07月01日号

会期:2011/06/18~2011/09/19

国立国際美術館[大阪府]

美術館の常設展示室を3分割し、それぞれの部屋に真っ白な同一形態の平面作品が連続するインスタレーションを展示した。作品の表面は和紙で覆われており、ほんのりとした柔らかさが感じられる。桑山作品といえば無機質で金属的な印象が強いので、この感触は意外だった。ただし、桑山は1960年代以来、同様の作品をずっとつくり続けており、本作も決してイレギュラーではないそうだ。平面作品の点数は60点、1点のみ1963年制作で、ほかはすべて新作である。細部まで計算し尽くされた空間は堅牢で、意味を考えることすら跳ね返すほど隙がない。「インスタレーション」よりも「空間彫刻」と漢字で表現したくなったのは、私だけだろうか。

2011/06/18(土)(小吹隆文)

artscapeレビュー /relation/e_00013510.json l 10004980

2011年07月01日号の
artscapeレビュー