artscapeレビュー
“19世紀洋装店” Sincerely10周年展
2016年07月01日号
会期:2016/06/07~2016/06/12
同時代ギャラリー[京都府]
最初に断っておくが、本展は美術展ではない。19世紀英国の女性服を再現し、21世紀の街着として再構築したファッションブランド「Sincerely」の10周年を記念した展示・販売会である。会場には19世紀を舞台とする映画やテレビ番組で目にしたことがあるような服がズラリと並んでおり、最初はコスプレイベントと勘違いしたほどだ。しかも「1810年代」「1820年代」と10年刻みで当時の流行を忠実に再現しており、服飾史家も脱帽のディープな研究ぶりが伝わってくる。さらに驚くべきは、これらの衣服には現代人が日常生活で使えるよう、細かなアレンジが施されているのだ。例えば、当時は他人の手助けなしに着られなかった服を1人でも着られるようにする、自宅で洗濯できるようにする、というように。いやもう、本当にすごい。ただただ唖然として、会場内をグルグル回る筆者であった。
2016/06/10(金)(小吹隆文)