artscapeレビュー
イラストレーター 安西水丸展
2016年07月01日号
会期:2016/06/17~2016/07/10
美術館「えき」KYOTO[京都府]
イラスト、漫画、絵本、小説などの執筆、そしてテレビタレントとしても活躍した安西水丸。筆者が大学生だった1980年代はまさに絶頂期で、多くの紙媒体で彼の作品を目にした。なかでも小説家、村上春樹との一連の仕事はいまも印象深い。当時はイラストや漫画で「ヘタウマ」が流行っていたので、彼の絵もその系統だと思っていた。しかし今回、1970年代から2010年代までの作品を通観して、その印象が一変した。作品を子細に観察すると、クライアントや仕事の内容により、じつに細かく絵柄を使い分けているではないか。簡潔な線の美しさも相まって、「これぞプロのイラストレーターの仕事だ」と、大いに感心したのである。その意味で本展は、筆者と同年代の者だけでなく、プロのイラストレーターを志す若者にとっても見ておくべき展覧会と言えるだろう。
2016/06/16(木)(小吹隆文)
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