artscapeレビュー
末永史尚「サーチリザルト」
2018年03月01日号
会期:2018/1/19~2018/2/18
Maki Fine Arts[東京都]
キャンバスに巨匠の絵が15-30個ほど描かれている。ピカソ、モンドリアン、ミロ、モランディ、ロスコ、フォンタナ、北斎らの作品だ。これはネットで画家の名前を検索したとき出てくる画像をそのままの配列で描いたもの。こうした検索システムがどうなってるのか知らないけど、たぶん検索件数が多いほど上位に登場するだろうから、ここに描かれているのはその画家の人気のある作品、いいかえれば代表作ということになる。ピカソでいえば、《鏡の前の少女》《3人の音楽家》《アヴィニョンの娘たち》などが上位に入っている(試みにいま「ピカソ」で画像検索したら、3番目に岡本太郎の絵が入って来た)。作品の配列も間隔も色彩も、なるべくネット上に表示されたまま忠実に再現しているというが、たとえばホイッスラーの写実絵画などは細部が簡略化されていて、そこがいいんだな。作品と作品のあいだは白く区切られているので、一見コマ割りマンガのようにも見える。これはおいしい。3週間ほど前に見た「ジェネリック・オブジェクト」が身近な物体を絵画化する試みだとすれば、今回の「サーチリザルト」は、デジタル化され実体を失った絵画を再び絵画化(=物体化)する試みといえる。
2018/02/09(村田真)