artscapeレビュー

熱く、元気なあの時代 1980年代展

2018年09月01日号

会期:2018/08/01~2018/08/13

日本橋三越[東京]

今年は「80年代展」の当たり年。金沢21世紀美術館では「起点としての80年代」が始まったし、秋には国立国際美術館でも「現代美術の80年代」が開かれる。30年を経てようやくナウでバブリーな時代が客観的に歴史化できるようになった、というのは美術の話。こちらはサブカルの80年代展だ。展示構成は当時のファッションを振り返る「時代とファッション」、携帯やパソコンなど80年代に登場した生活用具を紹介する「暮らしと革命」、アニメ、コミック、キャラクターグッズを並べた「マニア誕生」、懐かしのアイドルが登場する「青春カルチャー」など、なんのひねりもない区分け。

展示を見ると、ファッションやコミックなどはそう変わってないが、携帯電話やパソコンといったライフスタイルを根本的に変えるアイテムが登場した時代だったことに気づく。無印良品やユニクロ、ドンキなどが登場したのも80年代。サブカル誌では『宝島』『スタジオボイス』『ビックリハウス』などが隆盛を誇ったけど、なぜか『ぴあ』が出てないぞ。また、イラストレーターの永井博は1コーナーを設けられているのに、シュナーベルやキース・ヘリング、日比野克彦らニューペインティングやヘタうまは小さな壁に写真パネルでしか紹介されてない。なにより「熱く、元気な」と謳いながら会場はスカスカで、ガラスの陳列ケースに収まったアイテムもペカペカで、80年代というよりもっと前の昭和レトロの香りが漂う60年代の空気。この「スカ」な感じが80年代らしいといわれればそうかもしれないが、それにしても中身なさすぎ。監修が泉麻人だから仕方ないけどね。

2018/08/05(村田真)

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