artscapeレビュー
カタログ&ブックス | 2020年7月15日号[近刊編]
2020年07月15日号
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をartscape編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
◆
写真とファッション 90年代以降の関係性を探る
2020年7月19日まで東京都写真美術館で開催されている「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」展のカタログ。監修は編集者の林央子。アンダース・エドストローム、髙橋恭司、エレン・フライス×前田征紀、PUGMENT、ホンマタカシの作品を通して、1990年代以降の写真とファッションの関係性を探る。図版、作家略歴、作品リスト、林および担当学芸員のテキストを収録。
アンビルトの終わり ザハ・ハディドと新国立競技場
2015年、「アンビルトの女王」として知られるザハ・ハディドが設計した新国立競技場の原案が白紙撤回され、激震が走った。本来、市民一人ひとりの生活に意匠を凝らすべき建築家たちが、なぜ「アンビルト」を描くのか。資本と消費の論理が先行し、物語や理念が失われた時代に、私たちは建築の未来を語ることができるのか。混迷を極めた新国立競技場問題の背景を、すみずみまで検証する。「建てられざる建築」とその終わりをめぐる、圧倒的論考。
ミュージアムの憂鬱 揺れる展示とコレクション
近代が生んだ展示と収集の装置=〈ミュージアム〉。歴史をかたる権力を託されたこの〈装置〉は、混迷する世界の中で、いかなる役割を果たしていくのか。
さまざまな時代と場所における多角的検証を通じて、これからのミュージアムの(不)可能性を問う、最新の研究成果。
芸術とその対象
再現や表現、意図の意味など、美学の基本問題について現在の定説を基礎づけた1968年刊行のロングセラー。
芸術作品を哲学的に考察し、文化や社会においてそれらがどのような役割を果たしているか明らかにする。本書の深い洞察は、美学概論として今もなお多大な影響を与えつづけている。
映画を見る歴史の天使 あるいはベンヤミンのメディアと神学
ベンヤミンが「映画」に見出した複製技術の展開と知覚の変容。それは神学的思考といかにかかわるのだろうか。本書は、これまで個別に論じられていたベンヤミンの「メディア」と「神学」を架橋し、彼が構想していた「救済」の真の姿に迫る。没後80年、ベンヤミン研究は新たな次元へ。
文化は人を窒息させる デュビュッフェ式〈反文化宣言〉
「アール・ブリュット」の名付け親による文化的芸術への徹底批判。制度的な文化概念を根底から覆し、真に自由な創造へと向かう痛快なテクスト。フランス現代思想の知られざる原点ともいえる比類なき著作、初の邦訳。
「本書は一九六〇年代ラディカリズムの極致を体現する『文化革命宣言』である。支配的文化の強度が極限にまで高まり、社会の鋳型にはめられたまやかしの個人主義が横行するいまこそ、その趨勢を逆転し、『普通の人間』としての個人のあたりまえの世界を回復するために、このデュビュッフェの『たったひとりの反乱』の意味をわれわれひとりひとりが噛み締めなければならないと思う。」(訳者あとがきより)
トーキョーアーツアンドスペース アニュアル 2019
トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の2019年度の活動をまとめた事業報告書。開催した展覧会や公募状況の報告、レジデンスに参加したアーティストのインタビューなどを収録。
奈良市アートプロジェクト 古都祝奈良 2017-2020
奈良市アートプロジェクト「古都祝奈良(ことほぐなら)」は、1300年にわたる歴史や文化が今に息づく奈良を舞台に、美術や演劇などの現代の表現を通じて、奈良に集う国内外の人びとと奈良で生活する人びとが共に体験し作り上げるプロジェクト。2017年から2020年までの開催実績を掲載した報告書。
◆
※「honto」は書店と本の通販ストア、電子書籍ストアがひとつになって生まれたまったく新しい本のサービスです
https://honto.jp/
2020/07/15(水)(artscape編集部)