artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
日本、家の列島 ─フランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザイン─
会期:2017/04/08~2017/06/25
パナソニック 汐留ミュージアム[東京都]
フランス人の建築家の目から見た日本の住宅であり、すでにヨーロッパでは数カ所巡回しているもの。日本での展示用に新しくつくられた模型群、施主と建築家へのインタビュー、ジャーナリストが撮影した住人や街の人・風景が一緒に映る写真が充実している。オープニングのシンポジウムでは、前衛的なデザインの住宅でありながら、いまなお室内では靴をぬいで、床にべたっと座ったり、寝転ぶ日本人の伝統的な生活習慣が、実は西欧人にとってかなり驚きらしいことが判明した。確かに取材時に、そうした住民のポーズが多く撮影されている。
2017/04/08(土)(五十嵐太郎)
「不信 ~彼女が嘘をつく理由」
会期:2017/03/07~2017/04/30
東京芸術劇場[東京都]
三谷幸喜「不信 ~彼女が嘘をつく理由」@東京芸術劇場。同じ間取りに暮らす集合住宅の2組の夫妻(段田安則、優香ほか)が、小さな嘘から転げ落ち、引き返せない地点を越えてしまう。シンメトリカルなセット、水平移動しながらさまざまな配置になる椅子群、中心軸の舞台を両側から挟む観客席など、空間デザインも交換可能性を示唆しており、興味深い。
2017/04/06(木)(五十嵐太郎)
パッセンジャー
宇宙船の内部は、5,000人の乗客という規模感も含め、現在のクルーズ船のイメージをかなり投影しているのが興味深い。物語はSFの枠組を借りて、確かに倫理的な問題を突きつけるものだが、同時に限定的な状況のなかで人間の天職と運命といったことも考えさせられる。
2017/04/04(火)(五十嵐太郎)
メッセージ(原題:Arrival)
日本ではまだ公開されていないSF映画『Arrival』。垂直に起立する宇宙船の細いシルエットがこれまでにない風景をつくり、崇高で見とれた。一方、エイリアンははっきりと姿を見せないことで、失点を防いでいた。女性の言語学者が、宇宙人とのコミュニケーションを試みる物語だが、本作も本当に中国の存在感が大きい。実は時空の円環が鍵で、えっ? そういう話だったの? とも思うが、アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」ももっと大きなレベルでそういう部分があった。
2017/04/04(火)(五十嵐太郎)
ザ・コンサルタント
ベン・アフレックが一見地味な会計士だが、自閉症の超人/殺し屋というあまりないタイプの人物造形を試みており、想像以上の出来だった。ところで、ベッドの天井にポロックの絵を架けていたが、もともと垂直方向に描かれた作品だから、同軸で見るのはある意味正しいかもしれない。
2017/04/04(火)(五十嵐太郎)