artscapeレビュー
artscape編集部のレビュー/プレビュー
カタログ&ブックス|2017年8月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
MA VIE A PARIS「私のパリ生活」
イヴァン・ペリコリ氏とブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット氏が、パリのお薦めの場所を紹介するガイドブックです。鍼灸師や水道管工事、歯医者といった日常生活に役立つ実用的な場所から、レストランやカフェ、ホテルといった観光客も知りたい場所まで、300箇所以上が収められています。アスティエ・ド・ヴィラット独自のセンスで切り取ったパリの日常が垣間見える内容となっています。 背表紙部分以外の本の裁断面全てに金箔が施された“三方金”仕様となっており、フランス語原書同様の活版工法にて印刷されています。 アスティエ・ド・ヴィラットは日本でも人気の高い陶器ブランドで、両氏が1996年に創業しました。2015年にパリ唯一の活版印刷工房を手に入れ、2016年1月に出版社「エディション アスティエ・ド・ヴィラット」を設立しました。最初の出版物として、本書のフランス語版を活版印刷で発行いたしました。
音楽と建築
伝説の名著、ついに新訳で復活。高度な数学的知識を用いて論じられる音楽と建築のテクノロジカルな創造的関係性──コンピュータを用いた現代の表現、そのすべての始原がここに。
図鑑 デザイン全史
決定的図鑑─19世紀から21世紀まで、デザインの流れを一望する初めてのヴィジュアル大図鑑。編年的な構成―アーツ・アンド・クラフツ運動から、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、モダニズム、ミッドセンチュリー・モダン、文化革命、ポストモダン、そして現在まで、時代や動向ごとにデザイナーと作品を紹介。ジャンルを網羅―グラフィック、タイポグラフィ、食品、ジュエリー、家具、照明器具、自動車、建築などなど、幅広いデザインのジャンルを豊富な作品写真で丁寧に解説。進化─自転車の進化、カメラの進化、電話機の進化、ギターの進化など、個別のジャンルの変遷が一目でわかる特設ページも多数収録。
洋裁文化と日本のファッション
ファッション史や大衆史からこぼれ落ちる洋裁文化の実態を、デザイナー、ミシン、洋裁学校、スタイルブック、ファッションショーなどの事例から立体的に描き出す。そして戦後の洋裁文化を、「民主化の実践」「消費社会の促進」という視点から再評価する。
フラッター・エコー 音の中に生きる
ブライアン・イーノらとともにアンビエント・ミュージックのシーンを作りあげ、ヒップホップ、テクノなどの発展にも貢献した、英国のミュージシャン/音楽評論家、デイヴィッド・トゥープが、自身のキャリア、自身の作品、音楽のパートナーについて振り返る、決定的な一冊。トゥープの広範囲にわたる活動記録の集大成であると同時に、英国における、現代音楽〜フリージャズ~テクノ/アンビエントの地下水脈を辿る年代記でもある。
ブックデザイナー鈴木一誌の生活と意見
生活者そして知識人としてのデザイナー12年間のクロニクル。
長年にわたりブックデザイナーとして活動し、デザイン、写真、映像についての批評でも知られる著者が、2005年から2016年までの12年間にわたって日常や社会の諸相に巡らせた思索の軌跡。『at』『atプラス』『市民の意見』『十勝毎日新聞』という三つの媒体に寄稿した連載エッセイと読書アンケートを中心に収録する。経済や情報のグローバル化を背景に、人々の価値観や公共性の枠組みが大きく変容していった時期に書かれたこれらのエッセイは、出版にかかわるデザイナーならではの同時代批評であり、デザインについて語らないデザイン論でもある。市場経済のデザイン言語から離れ、私たちの足下から立ち上がる思考の地平。
2017/07/31(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス|2017年7月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
Drawing Tube vol.01 Archive
2016年9月に“山形ビエンナーレ”にて行われた、ドローイングの領域を拡張し続けるアーティスト 鈴木ヒラクと、日本を代表する全身詩 人 吉増剛造のセッション、あるいは交信の記録。神宮巨樹による記録写真に加え、気鋭の書家 華雪によるテキスト「ことばがうまれる間 際」、サウンドスケープ研究者の髙橋憲人と鈴木ヒラクの電話対談をバイリンガルで収録。
ドローイングの実験室“Drawing Tube”による初の出版物。
建築の条件──「建築」なきあとの建築
建築はいつの時代も「建築家」と「クライアント」と「社会」の関係のうえに成り立ちますが、21世紀の建築は特に「社会」の比重が大きいと言われます。建築は社会がつくる。
建築は、応答せざるをえない他者からの直接的な要求だけではなく、間接的あるいは無意識的なレベルの条件に規定されていると坂牛は考え、現在に至る歴史を、人間に内在する問題系──「男女性」「視覚性」「主体性」「倫理性」──と、人間に外在する問題系──「消費性」「階級性」「グローバリゼーション」「アート」「ソーシャル」──から成る9つのテーマについて分析的に思考します。
また、社会的枠組み(ハビトゥス)をどのように「違反」して次の建築を生み出すか、建築家・坂本一成氏との対談も収録しています。
ISOTYPE[アイソタイプ]
事象と意味をつなぐ視覚化(=絵文字化)のシステム、ISOTYPE[アイソタイプ]。開発者であるオットー・ノイラートの多面的な活動とともに、あらゆる分野におけるビジュアル・コミュニケーションの発展に影響を与え、インフォグラフィックスのはしりとしてデザイン史に名を残すも、その志を著した出版物がこれまで邦訳されることはなかった。大戦の狭間、移民やナショナリズムを背景とし、国際化社会に向けた絵による教育・掲示の体系化と普及に勤しんだノイラート。彼が夢見た、国家を超える〈普遍的〉世界において、“個人のために”科学が、デザインが、果たすべき役割とは何であったのか。80年の時を経て、今なお問われているグローバリズムの課題、取り組まれているユニバーサルなコミュニケーションツールに通じる、その基礎的で壮大な取り組みに光を当てる。
All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて
映画「急がない人生で見つけた13のこと」で話題を呼んだソール・ライター。我々日本人を引きつけてやまない、人生観、情緒的表現、浮世絵の影響を感じされる構図、色彩など、その深遠なる魅力の謎に迫る。初期のストリートフォトから広告写真、プライベートヌード、ペインティングなど約200点とともに、アトリエ写真、愛用品などの資料も収録。
T_ADS TEXTS 02 もがく建築家、理論を考える
ふたつの東京オリンピックのはざまで、時代の大きなうねりのなか形作られた現代日本建築の多様性を「理論」「技術」「都市」「人間」という四相から見直すシリーズの第1弾、「理論編」。日本を代表する建築家自身による作品解説とインタビューによる現代日本建築入門。
2017/07/14(金)(artscape編集部)
カタログ&ブックス|2017年6月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
彫刻の問題
爆心地・長崎から彫刻を問う──
長崎市の原爆落下中心地に建てられたモニュメントに焦点を当て、その意味を問い直す「彫刻の問題」展が2016年秋、開催されました。本書は、同展の企画者、金井直と、出品作家の白川昌生、小田原のどかによる公共彫刻の問題点に焦点を当てた論考を収録。彫刻との関わりがとくに深い、爆心地・長崎から、戦後日本の彫刻を再検証するための論集です。
マイクロシェルター──自分で作れる快適な小屋、ツリーハウス、トレーラーハウス
狭小建築プロジェクトは、材料も少なくて済み(捨てられた材料の再利用も可能)、失敗にも寛容という特徴を持っています。本書『マイクロシェルター』は、これまで机上に乗る作品を作ってきた読者を「自分の居場所を自分で作る」という、まったく新しい世界へと誘う書籍です。実際に生活できる小さな家(タイニーハウス)、世の中のわずらわしいことから逃れるための一時的な隠れ家、ツリーハウス、移動式の家(トレーラーハウス)など、狭いスペースを有効に使うための驚くようなアイデアが盛り込まれた50を超えるプロジェクトをフルカラーで紹介し、読者の想像力と独立心を刺激します。狭小建築に最適な工具の選び方や低コストの部屋の飾り方など、実践的な情報も紹介しています。
アルスエレクトロニカの挑戦──なぜオーストリアの地方都市で行われるアートフェスティバルに、世界中から人々が集まるのか
人口20万人の町リンツは、市民を巻き込みながら最先端のメディアアート・フェスティバルや国際コンペを開催、教育拠点のミュージアムや産業創出拠点のラボを設立、衰退した工業都市を創造都市へ変貌させた。市民を主体に約40年をかけた町のイノベーションに、都市政策・ブランディングに必要なクリエイティブメソッドを学ぶ。
ライアン・ガンダー──この翼は飛ぶためのものではない
ライアン・ガンダーによる所蔵作品展─かつてない素晴らしい物語
国立国際美術館で開催している展覧会「ライアン・ガンダー─この翼は飛ぶためのものではない」展および「ライアン・ガンダーによる所蔵作品展─かつてない素晴らしい物語」のカタログ。ライアン・ガンダーのテキストと本展を企画した学芸員、中西博之氏の論考を収録。
六本木開館10周年記念展 神の宝の玉手箱
六本木開館10周年記念展 第二弾『神の宝の玉手箱』。本展は修理後初公開となる国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》を基点に現存する手箱の名品と関連作品を集め、手箱の神宝としての姿を中心にご紹介します。
本図録は、全展示作品のカラー図版と解説を掲載しており、巻頭には修理後の《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》の全方向から撮影した画像を掲載しています。
U‐35 Under 35 Architects exhibition──35歳以下の若手建築家による建築の展覧会
「Under 35 Architects exhibition 2017 OPERATION BOOK──35歳以下の若手建築家による建築の展覧会」の図録。
2017年の公募審査には、五十嵐太郎氏が選考。各建築家のプロジェクト紹介のほか、五十嵐淳氏へのインタビューを収録。
超絶記録!西山夘三のすまい採集帖
建築学者・建築家の西山夘三(うぞう)(1911-1994)は、すまいを科学的に研究したパイオニアであり、「食寝分離論」の提言者、そして戦後のDK型間取りの生みの親である。1940〜60年代に実施した住宅の徹底調査は日本のすまいが劇的に変化した時期の記録だ。入念なフィールドワークで採集した膨大な調査票、図版や写真類からは、夘三が漫画家志望だったことや驚異的な記録魔であったことが手に取るように分かる。その夘三らしさを存分にフューチャーした西山すまい学が本書である。夘三が採集した町家、国民住宅、電車住宅など当時のすまい26項目や、自らを実験台にした西山家のすまい方の変遷を夘三の図版満載・絵解き式で展開する。漫画作品や極小文字で綴られた日記帳など夘三の多才さにも触れる一冊。
HAPS事業報告書 2016年度
東山アーティスツ・プレイスメント・サービス実行委員会(HAPS)の2016年度の活動報告書。森美術館チーフ・キュレーターの片岡真実氏、京都芸術センター館長の建畠晢氏、HAPS実行委員長の遠藤水城氏による鼎談「HAPSの働きとこれからの京都アートシーン」を収録。
岐阜美術館 アートまるケットレポート 2015→2016
岐阜美術館の館長、日比野克彦氏のディレクションにより2015年に開始した「アートまるケット」の報告記録。
トーキョーワンダーサイト アニュアル2016
東京を拠点に、公募展、レジデンス事業、若手クリエーターの発掘事業などを手がけるトーキョーワンダーサイト。本書はその2016年度の活動記録集。1年間に行なわれた全事業の詳細や参加アーティストのプロフィール、公募展の審査員レビューのほか、青木真莉子、山田健二、児玉北斗のアーティスト・インタビューを収録。
2017/06/14(木)(artscape編集部)
カタログ&ブックス|2017年5月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
いかに戦争は描かれたか
本書は、2015年にBankARTスクールで開かれた連続講座「戦争と美術」の講義内容をまとめたものです。「戦争画とはなにか」にはじまり、藤田嗣治の戦争画、明治以降の日本における戦争表象の変遷、モニュメントやスペクタクルの視点から見た戦争など、第2次大戦の戦争画に限らず多角的に「戦争の表象」に迫ります。
ムンタダス アジアン・プロトコル ラウンドテーブル記録集
3331 Arts Chiyodaではスペイン人アーティスト、アントニ・ムンタダスをアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに招聘し、その成果として日本における20年ぶりの個展「Muntadas展 Asian Protocols」を2016年3月に開催しました。本書は関連プログラム「ラウンドテーブル」全3回の記録集。日本・中国・韓国をめぐる3つのテーマについて多彩な識者たちが斬新な視点を提供します。
YCAM YEARBOOK 2017-18
本書は、YCAMの多岐に渡る活動をご紹介するとともに、YCAMがある山口県の観光地・宿泊・飲食店の情報をご案内するものです。
巻頭には女優・橋本愛さんと行くYCAMガイドが掲載されているほか、ゲストとYCAMのスタッフとの対談、専門家による2016年度事業のレポートなど盛りだくさんの128ページです。
科学者の網膜 身体をめぐる映像技術論
19世紀末から20世紀初頭のフランスで、名もなき人々の身体を測定するために写真を中心とする映像技術を駆使した5人の科学者たち。彼らの荒唐無稽にも見える映像実践から、多様な映像環境に組み込まれた私たちの感性の変容をも照らし出す視覚文化論の成果。
無くならない──アートとデザインの間
人気アートディレクター・佐藤直樹が語る、これからの芸術!?
佐藤さんはコンピュータを使ったデザインの黎明期に、『WIRED』日本版などを手掛け、20年以上一線で活躍してきた。しかし、ある日突然、木炭画を描き始めた。絵を描くのが止まらなくて、その絵はなんと100メートルに! デザインするのをやめてしまうの? というわけではなさそうだけれど、いったん立ち止まって、アートやデザインについて考えてみました。
加藤アキラ[孤高のブリコルール]
加藤アキラは、1960年代に前橋を舞台に活動した「群馬NOMOグループ」のアーティストとして活躍しました。加藤は、身の回りで廃棄されていく日用品や自然の素材を寄せ集め、それらに僅かな細工を施す[ブリコラージュ]によって作品へと昇華させます。リノベーションやオーバーホールなどかつての物を再生させ、新たな価値観を付与することが求められる時代、日常に埋もれて行く産業製品などに息吹を与える加藤の作品は、多くの示唆に富んでいます。
2017年3月、群馬を代表する現代美術家のひとりとして加藤アキラの活動を総覧する初の展覧会が開かれ、本書はその展覧会図録として制作されました。
2017/05/12(金)(artscape編集部)
カタログ&ブックス|2017年4月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
身体感覚の旅──舞踊家レジーヌ・ショピノとパシフィックメルティングポット
独立戦争中のアルジェリアで生まれ育ち、幼い頃から踊り続けてきたレジーヌ・ショピノ。その60年の半生は「自己受容感覚的な自伝(biographie proprioceptive)」として振返りうるようなものであり、身体の感覚を変え続ける旅であった。(中略)
近年、自身の新たなカンパニー(Cornucopiae - the independent dance)を立ち上げてからは、太平洋諸地域のアーティストや研究者らと「パシフィックメルティングポット(PMP)」という舞踊・歌唱・音楽の研究創作プロジェクトに励み、島々の口承文化に宿る時間性から、歌や踊りの本性を見直している。本書は、そのPMPのプロジェクトにいたるレジーヌ・ショピノの舞踊的自伝、および哲学者や批評家らのダンスに関する珠玉の論考を編纂したもの。2015年に神戸で世界初演となったPMPの新作公演の映像や、ドキュメンタリーフィルムも特典付録している。
動く大地、住まいのかたち プレート境界を旅する
動く大地はユーラシアのプレート境界域に何をもたらしたか。環境を創造し、時に社会を壊滅させる地球の驚異的な働きと、その地で生き抜く人々の叡智と暮しを活写。人間生存の条件を捉え直した建築論的旅の記録。
音楽と美術のあいだ
音楽って? 美術って? そのあいだって?
それが音楽であるとか美術であるとか、そんなもんは本当はどうでもいいと思っているんです。でも、「そもそもそれって何なの?」ってところから考えてみると、今までゴミクズだと思っていたものが輝きだすことだってあって、あ、輝かなくてもゴミクズのままでも充分素敵だと思えることもあって、そんなことをやっているちょっと風変わりだけど素敵な人たちと話していく中で思ったのは、名付けようもないことをやるってことは、自分の手で未来を見つけることなんじゃないかってことなんです。この本にはそんなことが書いてあります。(大友良英)
DESIGN IS DEAD(?)デザイン イズ デッド?
金額、日程、評価のどれにも納得感が得にくい「デザイン」。いまもっとも疑いの目を向けられる暗黙の領域にスポットをあて、社会としてそれをどう駆使していくべきか考える一冊。
展覧会「大いなる日常 The Great Ordinary」カタログ
表現するという行為は、誰のものなのでしょうか? 何かを表現するということは、限られた人に許された行為ではなく、無意識のうちに誰もが行っていることです。その人にとっては切実な習慣や愛着、ささやかなこだわりが、他の人にとって “表現” として発見されることもあります。また、ひとりでにはじまる表現もあれば、誰かの存在があるからこそできあがる表現もあるのです。わたしたちは自分以外のものと関係を結びながら日々生きていますが、表現においても、それは避けられない問題です。そして世界は、必ずしも人だけでできているわけではありません。この展覧会では、人や動物、植物、機械など、性質の異なる主体の恊働によるさまざまな表現を通して、表現のはじまりやそこにある他者との関係性のかたちを改めて見つめます。
Magazine for Document & Critic AC2[エー・シー・ドゥー]18号(通巻19号)
国際芸術センター青森が、2001年の開館以来、およそ毎年1冊刊行している報告書を兼ねた「ドキュメント&クリティック・マガジン エー・シー・ドゥー」の第18号(通巻19号)。2016年度の事業報告とレビューのほか、関連する対談や論考などを掲載。今号の特集は「もう一つの表現」、O JUN展「まんまんちゃん、あん」ほか。
「森のはこ舟アートプロジェクト2016」報告書
2014年に始まった「森のはこ舟アートプロジェクト」の2016年度の活動とこれまでの軌跡を総括した報告書。各エリア(喜多方市/西会津町/三島町/猪苗代町/北塩原村/南相馬市)での活動報告のほか、クロージングフォーラムの様子や各エリアコーディネーターのインタビューなどを収録。
武田五一の建築標本──近代を語る材料とデザイン
近代建築を牽引した建築家・武田五一(1872-1938)は、博物学者でもあった?!
国会議事堂の設計にも関わった五一は、自身の建築だけでなく、教育にも力を注いでいた。創設に携わった京都大学建築学部やデザインを教えた京都工芸繊維大学には、彼が中心となって収集した多岐にわたる建築素材や金物サンプル類が残されている。教育用として集められたものの、好奇心旺盛な五一の分類学的思考によって集められたそれらはまさに「建築標本」と呼ぶにふさわしい。建築家でありながら博物学者とも思わせる所以である。
本書では、本邦初公開となる資料を中心に約80点の「建築標本」をカラー図版で紹介。明治の幕開けとともに近代化が始まった日本の建築を象徴する多彩な材料を一望しながら、未来を見据えたコレクター・五一の世界観を垣間見る。彼の好奇心と関心が詰まった建築コレクションを初披露する。
2017/04/14(金)(artscape編集部)